育児との両立支援 企業半数で支障

政府が進める少子化対策で、仕事と育児の両立支援について企業の半数(49.9%)が「業務に支障が出る」と回答した。また、在宅勤務や残業免除権の拡大など、両立支援の拡充は、従業員数が多い企業ほど懸念が大きいことがわかった。

 東京商工リサーチ(TSR)は6月1~8日、全国の企業を対象に「少子化対策」に関するアンケート調査を実施した。「3歳までの在宅勤務」「3歳までのフレックスタイム制の適用」「就学前までの残業免除権の拡大」のうち、1つ以上の導入で「業務に支障が出る」と回答した企業が半数(49.9%)を占めた。コロナ禍を契機に在宅勤務やフレックスタイム制が広がり、仕事と育児の両立支援の地盤は整いつつある。だが、建設業、製造業、対面サービス業など労働集約型産業を中心に、両立支援は業種間で負担に濃淡が分かれた。

 また、従業員数別では、「300人以上」で「支障あり」が59.7%と最も高く、従業員数が少ないほど「支障あり」が下がる傾向がみられた。大企業は女性の雇用拡大に取り組んでいるほか、責任ある職務に就いた社員のカバーが難しいことも背景にあるようだ。一方、中小・零細企業は、子育て世代の女性雇用数が少なく、出産や育児への支援の影響が大企業より小さいとみられる。さらに、中小・零細企業ほど、男性を含めた子育て関連支援制度の整備が進んでいないことも要因として挙げられる。

 政府の支援策の拡充で仕事と育児が両立しやすくなることが期待される。だが、資金的な制約で支援策の導入が難しい企業では、子育て世代の働き手の雇用を抑制することが懸念される。従業員の働き方に加え、子育て世代の従業員採用への支援を抱き合わせた制度の検討も必要だろう。

※本調査は、2023年6月1日~8日インターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答5,283社を集計、分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。今回調査が初の実施。

最終更新日:6/19(月)11:51 東京商工リサーチ

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6466949

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