水道料金が各地で減免 懸念も

コロナ禍の支援策として、自治体などの水道事業者の4割近い498事業者が、水道料金を無料にしたり減額したりしていることが厚生労働省の集計でわかった。減免額は計約547億円で、月20トン使う平均的な家庭の料金に換算すると、約140万世帯の年間水道使用料金に相当する。「第3波」の感染拡大で減免期間を延ばす自治体もある一方、収益悪化などへの懸念から値上げに踏み切る自治体も出てきている。



 水道は自治体の公営事業のため、首長の判断で料金の減免がしやすい。そのため一般家庭や飲食店など個人事業主への支援策として拡大。厚労省が昨年12月15日時点で全国約1300の水道事業者にアンケートをしたところ、1258事業者から回答があった。

 コロナ禍の支援策としてこれまでに減免したか、現在も減免を続けているのは483事業者と、昨年5月下旬から約2・7倍に増加。今後実施するとした事業者も15事業者あった。

 減免対象は、一般家庭が2501万件で計488億円、家庭用以外は136万件で計59億円。規模別では、給水人口が25万人未満の事業者が447事業者と9割を占めた。

 給水人口が100万人以上となる大都市の事業者は14あるが、減免を実施したのは大阪市、名古屋市、仙台市と、厚木市や鎌倉市などに供給する神奈川県営水道の計4事業者。

 給水人口が50万人以上100万人未満は4事業者、25万人以上50万人未満では28事業者が減免を実施していた。

■コロナ長引き、減免期間も延長

 厚労省によると、減免は多くの自治体で昨夏ごろに実施。だがコロナ禍の長期化で期間を延長する自治体もあり、茨城県古河市は昨年8月までの予定だった基本料金の減免を3カ月延長。一般家庭向けの基本料金を7~9月に無料とした大阪市も、売り上げの減少が大きい飲食店などで12月~今年2月に減免する。

 一方、静岡市は昨年10月、基本料金を平均14・8%値上げした。当初は6月に値上げする予定だったが、コロナ禍で延期。「老朽化対策などへの影響を考えると延期は4カ月が限界だった」(担当者)という。今年4月からの値上げを見送った横浜市も、7月から水道料金を平均12%値上げする。

 全国の自治体に水道事業の経営を助言しているEY新日本監査法人の福田健一郎シニアマネージャーは「地方の小さな自治体は経営基盤も弱い。施設更新のための蓄えを使って減免に取り組むケースもあり、さらに収益が悪化すれば水道事業が立ちゆかなくなる懸念もある」と指摘している。

最終更新日:1/22(金)10:08 朝日新聞デジタル

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6382934

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