2020年に早期・希望退職募集を開示した上場企業は93社にのぼった。募集社数は、リーマン・ショック直後の2009年(191社)に次ぐ高水準。前年の35社から2.6倍増と急増した。
募集人数は、判明した80社で1万8635人を数え、2012年(1万7705人)を超え、募集社数と同様、2009年に次ぐ水準となった。募集を開示した企業は、直近の本決算で赤字が51社(構成比54.8%)と半数を超え、新型コロナウイルスの打撃で業績が悪化した上場企業が従来型の「赤字リストラ」に着手している実態が浮き彫りになった。
業種では、新型コロナが直撃したアパレル・繊維製品が18社で最多。米中貿易摩擦の影響も残る自動車関連、電気機器も増加した。2021年はすでに22社の実施が判明しており、年度末に向け、新型コロナの影響が大きいBtoC業種を中心に募集企業が高水準で推移するとみられる。
2021年に募集を開始する上場企業は1月21日時点で、すでに22社判明した。前年同期(11件)の2倍増のペースで推移している。募集人数は判明分で3490人に達し、前年同期(2220人)から1270人多い。
業種は、アパレル・繊維製品と自動車関連が各3社で最多。次いで、サービス業、外食が各2社で続く。サービスはいずれも観光関連で、コロナ禍で業績悪化が直接的に影響している。上場企業でも長引くコロナ禍で、昨春からの業績低迷から抜け出せない企業は多い。新型コロナ感染拡大の収束が見通せず、BtoCやその関連業種を中心に目立つ。このため、非正規雇用を含めもう一段の人員削減が行われる可能性もあり、今後の雇用情勢の悪化が懸念されている。
最終更新日:1/21(木)15:52 東京商工リサーチ