コロナ禍の「乱気流」に正面突破を試みる――。
国内LCC(低コスト航空会社)のピーチ・アビエーションは12月24日、中部国際空港を発着する新千歳と仙台両空港への路線を開設した。同社が中部発着の定期直行便を設定したのは初めてだ。
ピーチの森健明CEOは就航を決めた背景について、「中部はピーチ創業当初から、いつか就航したいと思っていた。(創業初便となった2012年3月の)就航から間もなく10年を迎えるにあたり、日本全国にピーチのネットワークを張るタイミングだ」と語った。
コロナ禍で競合の航空各社が国際線、国内線を問わず供給を絞っているのとは対照的に、ピーチは国内線の供給量を増やす強気の姿勢を続けてきた。
2020年から2021年にかけての年末年始、最大手の全日本空輸(ANA)は国内線の提供座席数を前年比で17.1%減らした。日本航空(JAL)やLCCのジェットスター・ジャパンも、ともに同30%程度減少させた。これに対し、ピーチは年末年始の提供座席数を、逆に前年比で17.6%増やした。
ピーチの森CEOは2020年7月の東洋経済のインタビューで、「しばらくは海外旅行に行けないため、日本人は『ステイホーム』ならぬ『ステイジャパン』の状況となる。(Go To トラベルなどによって)国内旅行が促進される中で、逆に国内線を増やさないほうが疑問だ。やるなら今しかない」と語っていた。
■コロナ第3波後に需要は回復するか
気がかりなのは、コロナ感染第3波による再びの需要低迷だ。年末年始におけるピーチの国内線旅客数は前年比38.6%減の8万6739人にとどまった。利用率は46.8%と低迷し、森CEOの言う「利益を出すために必要な70%以上の搭乗率」にはほど遠い。現状は利益どころか、運航変動費を賄えるかどうかという状況だ。
最終更新日:1/21(木)15:07 東洋経済オンライン