そごう・西武 売却問題に懸案残る

セブン&アイ・ホールディングスの株主総会は井阪隆一社長の続投で決着したが、傘下の百貨店、そごう・西武の売却問題は懸案として残る。当初2月1日を予定した売却時期は2度の先延ばしを経て「無期限延期」が発表され、実施の目途が立たない。家電量販店大手のヨドバシホールディングスが主力の西武池袋本店に出店する計画などを巡って調整が難航し、一部では「仕切り直すべきだ」という声すら上がっている。



井阪氏は25日の株主総会で、そごう・西武売却について「合意形成に向けて鋭意努力を続けている最中」だと説明した。具体的な時期を示すことはなかった。

米投資会社フォートレス・インベストメント・グループへの売却が進まないのは、そごう・西武の労働組合、西武池袋本店の不動産を一部所有する西武ホールディングス(HD)、そして西武池袋本店とまちづくりを進める地元自治体が慎重姿勢を崩さないからだ。

家電量販店のヨドバシカメラの出店は、フォートレスによるそごう・西武再建策の柱となる。ただ、現在は高級ブランドが集まっている西武池袋本店の主要エリアに入居を予定する。移転を迫られるブランド側はヨドバシとの同居に難色を示しており、撤退する事態になれば従業員の雇用や百貨店ビジネスの維持が難しくなると懸念されている。

セブン&アイは昨年、事業の「選択と集中」を迫る米投資会社バリューアクト・キャピタルの要請を踏まえ、全国10店舗を展開するそごう・西武の売却先探しを本格化。2度の入札を経て昨年11月に約2000億円超でフォートレスに全株式を譲渡する契約を結んだ。

しかし、こうした取引の過程で、セブン&アイ側が「売却を急ぐあまり、労組や西武HDなどへの根回しを怠った」(百貨店幹部)と指摘される。そごう・西武の従業員らが売却の差し止めを裁判所に申し立てるなど、泥沼化しつつある。

西武池袋本店では現在、昨年開始した約10年ぶりの店舗改装を中断している。改装エリアでヨドバシの出店計画が浮上したためだ。新型コロナウイルス禍の収束で百貨店業界が好況に沸く中、商機を逃しかねないと従業員の焦燥感は募る。

売却先のフォートレスを巡っても今月、親会社のソフトバンクグループがアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の政府系ファンドに譲渡を決め、状況は大きく変化している。井阪氏は株主総会でそごう・西武の売却について「今の段階で中止する考えはない」と説明したが、実現を疑問視する声は強まっている。(田辺裕晶)

最終更新日:5/25(木)21:36 産経新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6464433

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