年々拡大するポイント市場はすでに2兆円を超えたと見られる。もともとは商品やサービスの購買に対する「おまけ」で始まったものだが、ポイント自体の交換市場も発展し、「ポイ活」などの言葉も登場。楽天ではポイントを軸にした「楽天経済圏」を事業の重要テーマとして掲げている。
このポイント市場で次の波になってきているのが、ポイントを投資に使う「ポイント投資」や「ポイント運用」と呼ばれるものだ。
もともとおまけとして始まったポイントだが、投資に使われるようになることで、ポイントはますます現金に近い位置づけになってきた。ポイントを使って株式や投資信託などを買い、それを売却すれば現金が入金されるからだ。
利用者の運用ポイント数も、多くは“おまけ”的な規模だが、人によっては多額となってきている。「Stock Pointのユーザーが運用する平均は2000ポイントくらい。万の単位でやっている人もいるし、ポイ活をやっている人が、何年か分のポイントを交換して来る人もいる」(土屋氏)
盛り上がるポイント市場に対し、経済産業省は推進の立場を取っているようだ。しかし、市場規模が拡大する一方で、不透明な点も残っている。ポイント連動サービスの利益に対する税金の扱いもその1つだ。各サービス提供者は明確な回答を控えるが、「税金はかからない」という考え方と、「一時所得となり額によっては確定申告が必要」という考え方の2つがあるようだ。
国税庁がポイントに関する税制として明確な指針を出しているのは、次の点だ。ポイントを使って商品を購入したり割引した場合、「通常の商取引における値引きと同様の行為」とみなされ、確定申告の必要はないとしている。ただしポイントを使用して株式などを購入した場合は、購入分のポイントは一時所得に当たる。「1万ポイントで1万円分の株を買ったとき、1万円分の一時所得が発生する」(土屋氏)
国内では通貨のように貯めたり送金できたり決済に使えるものとして、現金と仮想通貨(暗号資産)という区分けはあるが、ポイントについてはあくまで“おまけ”としての位置づけのままだ。一方で、市場規模は2兆円を超え、年間で1兆円近いポイントが発行、それが投資にも使われ始めている。徐々に利用者の財産として、取り扱いの整理が必要になってきそうだ。
最終更新日:1/20(水)7:05 ITmedia ビジネスオンライン