G7サミット取材拠点で日本文化PR

広島市で開催中の主要7カ国首脳会議(G7サミット)で報道機関が取材拠点とするのが国際メディアセンターだ。センターには海外メディアに向けて日本の食文化や工芸をPRしたり、被爆地・広島の実相を紹介したりするブースが設けられ、海外の記者たちの注目を集めている。



 センターは広島城にほど近い広島県立総合体育館(広島市中区)に開設。24時間使え、大アリーナの約650席のワーキングスペースには各国のメディア関係者がひっきりなしに出入りする。さまざまな言語が飛び交い、外国人記者がビデオカメラを前にリポートする姿も目立つ。

 メインダイニングでは、お好み焼きやカキフライなど広島名物をはじめ、イスラムのハラルフード(宗教的に許された食べもの)も用意される。1日に最大5回、日本食のPRイベントがあり、初回の18日は広島や熊本、山形など6種の日本酒が振る舞われた。

 カナダのトロント大から研究で訪れたブリタニー・ワーレンさんは「秋田のお酒がすっきりした甘みで気に入った。日本酒のブランド名までは知らなかったし、触れたことのない地域に親しみが湧くのもいい」と喜んだ。イタリア人男性記者は「白ワインに似ているが、より深い味わい。まだ仕事があるから1杯だけにしないとね……」と残念そうだった。

 工芸品のブースでは、伝統ある熊野筆や仏壇といった地元広島の技を紹介。ブラジル人記者のマルコス・ウショアさん(64)は「折り鶴の作り方が動画で解説されているのが面白い。帰国したら5歳の孫娘と挑戦してみようかな」と興味津々だった。

 多くの記者たちが足を止めて静かに見つめるのが原爆の惨禍を伝える展示だ。原爆資料館から借りた、8時15分で止まったレプリカの懐中時計など計46点が並べられている。

 ポーランド人の男性カメラマン(36)は、背中が焼けただれた少女の写真の前でうつむきながら首を横に振り「ショックを受けた」と言葉少なだった。

 センターでボランティアとして通訳を務める広島女学院大4年の栄田莉子さん(21)は「原爆投下前と被爆直後、現在と広島の変遷をたどった写真に興味を持つ人が多い。街が破壊され、再び緑に囲まれたことに驚くようだ。広島の不屈の精神を感じてもらえるのでは」と話した。【小坂春乃】

最終更新日:5/20(土)19:45 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6463909

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