今回の局面で、株価がバブル後最高値を更新するとは、恥ずかしながら思っていませんでした。日経平均株価は17日に、1年8か月ぶりに3万円台を回復、さらに19日には、終値が3万808円35銭と33年ぶりの高値をつけて、バブル後の最高値を更新したのです。
■バブル崩壊後の高値更新
日経平均株価は、バブル時代の1989年に3万8915円と終値でのピークをつけました。その後は、日本経済の停滞と共に、長らく低迷を続け、再び3万円台を回復するのに30年もかかりました。
それが、2021年2月のことでした。コロナ禍で世界的に財政・金融政策が総動員されて、世界の株価が急回復を遂げた時期と重なります。
同じ2021年9月にも再び3万円台をつけたものの、日本経済はコロナ感染者が増加する度にマイナス成長を繰り返し、この間、株価は3万円の大台に戻すことができませんでした。
■米株価の上昇を伴わない日本の株高
その日経平均株価が、3月中旬の2万6000円台から急伸し、3万円台回復どころか、バブル後最高値まで更新したのですから、驚きです。
なにせ世界は金融引き締め局面、アメリカの景気後退が心配され、銀行破綻など金融不安が燻る中で、日本株が突出して値上がりすることに違和感がなくもありません。
今回は、2021年の時と違って、アメリカの株価上昇を伴っていないことが大きな特徴です。私が、今回そう簡単には3万円は行かないだろうと思っていた理由も、そこにありました。
しかし、どうやらアメリカの株式市場の方向性が定まらないからこそ、日本株が買われたようです。
インフレや金利の先行きや、景気悪化の程度が見通せない上に、金融不安まで加わって、長らく買い時を待ってきたアメリカや世界の投資家たちが、その代替先を求め始めたのです。
その際に光が当たったのが、日本市場だったようです。「消去法」、「代替先探し」、「幕間のひとコマ」などと専門家が評するのも、そのためです。
最終更新日:5/19(金)16:31 TBS NEWS DIG Powered by JNN