IRジャパン元副社長を逮捕 特捜部

企業の株主対応を支援する「アイ・アールジャパンホールディングス」(IRジャパンHD、東京)が業績予想の下方修正を公表する前に、同社株の売却を知人に勧めたとして、東京地検特捜部は18日、同社元副社長の栗尾拓滋容疑者(56)を金融商品取引法違反(取引推奨)の疑いで逮捕し、発表した。関係者によると、元副社長は容疑を認めているという。



 発表などによると、栗尾元副社長は2021年3月下旬、自社が売上高予想を下方修正するという重要事実を職務として把握した。公表前の4月上旬~中旬、知人女性2人にLINEメッセージなどを送り、損失を回避させる目的でIRジャパンHD株の売却を複数回勧めた疑いがある。

 2人は下方修正の公表前の同月中旬、計約1万1千株を何回かに分けて売却。購入時の数倍以上の計約1億8千万円で売り抜けたという。

 同社は同月16日、大型案件の遅れなどで、21年3月期の売上高の予想が従来予想より約14億円減ると公表した。発表日の終値は1万6千円台で、翌営業日の終値は1万3千円台に急落した。

■アクティビスト対応で企業支援

 同社は東証プライム上場で、前身の事業会社は1984年に設立。株主名簿に載らない「実質株主」の調査や、「物言う株主」と称されるアクティビストへの対応などで企業を支援する。

 注目を集めた近年の事案では、「関西スーパーマーケット」、新聞輪転機メーカー「東京機械製作所」の議決権争いで経営側の助言役を務め、買収防衛に貢献した。

 22年6月に、証券取引等監視委員会の家宅捜索を受けたことや栗尾元副社長の辞任を発表していた。

 栗尾元副社長の逮捕を受け、同社は「引き続き捜査に全面的に協力し、必要に応じて、栗尾氏に対する責任追及を含め、適切かつ厳正に対処する」などというコメントを出した。「本件を厳粛に受け止め、コンプライアンス意識の向上やコーポレート・ガバナンスの強化に努める」ともした。

最終更新日:5/18(木)16:49 朝日新聞デジタル

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6463692

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