自動車の運転状況を映像で記録するドライブレコーダーの販売に急ブレーキがかかっている。
電子情報技術産業協会(JEITA)などのまとめによると、2022年度の出荷台数は前年度比20.8%減の425万7906台と大幅に落ち込んだ。悪質な「あおり運転」対策で市場が急拡大してきたが、ここにきて特需が一服したとの見方も出ている。
集計が始まった16年度に約145万台だった出荷台数は、コロナ禍が直撃した20年度を除いて一貫して増加し、21年度には500万台を突破した。交通事故の証拠を残すために普及していたところに、あおり運転が原因で起きた17年の死亡事故をきっかけに関心が高まった。
最近5年間だけで出荷台数は計2200万台を超えた。ソニー損害保険が昨年6月にインターネットで実施した調査(有効回答数1000人)によると、ドラレコの搭載率は49.3%とほぼ半数。昨年度の出荷急減について、JEITAは「ドラレコの存在が認知され、広く行き渡ったことで特需は一巡した」と分析する。
出荷台数に陰りが見える一方、より高機能で単価が高い製品へのシフトが進んでいる。かつては前方カメラのみのドラレコが多かったが、近年は後方カメラを搭載した機種や、全方位を撮影できる機種の人気が高い。こうしたあおり運転対策などを強化した機種への買い替え需要があるため、「このままずっと市場が縮小していくとは思っていない」(大手メーカー)との声も聞かれる。
最終更新日:4/27(木)16:10 時事通信