公取委がみずほ証券注意 株式巡り

スタートアップ(新興企業)が新規株式公開(IPO)をする際に公開価格に関して不当な設定をしたとして、公正取引委員会は13日、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)につながるおそれがある行為だったとして、みずほ証券(東京都千代田区)を注意した。公開価格の設定に絡み、公取委が社名を公表して注意するのは初めて。



 公取委によると、みずほ証券は2020年6月~21年5月、新興企業などが東京証券取引所に上場する際の新規株式公開96件のうち21件で手続きの中心を担う主幹事を担当した。この際、2社について上場会社側の主張を下回る価格や条件を設定したが、いずれも株式公開時の初値は公開価格を大幅に上回った。

 この点について公取委は「2社の主張通りに設定していれば、より多くの資金を調達した可能性がある」と指摘。みずほ証券の行為は公開価格が一方的に低く設定されることにつながり、上場会社側に不当に不利益を与えたおそれがあるとし、みずほ側に独禁法違反となるような行為を行わないよう求めた。

 みずほ証券が当該期間に主幹事を務めた件数は、野村証券に次いで2番目に多い。公取委は22年1月、IPOにおける公開価格設定の実態について「(上場会社に対して)優越的地位にある主幹事が、一方的に公開価格を設定するなどして上場会社に不当に不利益を与えた場合は、独禁法上問題となるおそれがある」とする報告書を公表しており、今回の注意はこの報告書を作成するための調査を進める段階で情報を把握したという。

 公取委による注意は、通常は措置自体や対象企業名を公表しないが、今回は「他の事業者の理解と一層の未然防止につながる」として、みずほ証券の同意を得た上で公表した。

 みずほ証券は自社のホームページで「注意を真摯(しんし)に受け止め、引き続き法令などに従い、合理的かつ適正な公開価格設定プロセスとなるよう努めてまいります」とコメントを出した。公取委で今回の審査を担当した小室尚彦・第2審査長は「証券会社は中立的な立場で企業に納得のいく説明をしなければならず、主幹事により公開価格が一方的に低く設定されたとしたら問題だ」と話した。【柿崎誠】

最終更新日:4/14(金)3:36 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6460088

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