26.2%。これは、全国の自治体で書店が1つもない「書店ゼロ」の割合です。電子書籍やインターネット通販の普及などで年々減少し続ける書店ですが、そんな時代の中でも、成長し続けている書店があるんです。いったいどういう仕組みなのでしょうか。書店の生き残り策を取材しました。
先月31日に閉店した八重洲ブックセンター。その跡地には今も閉店したことを知らずに訪れる人がいます。全国で相次いで閉店している書店。年々店舗数は減り続け、2021年度は8642店(日販ストアソリューション課調べ)と現在は1万店を切っています。
ところが、そうした中で売り上げを伸ばす書店があります。去年10月に茨城・つくば市にオープンした「コーチャンフォー」というちょっと変わった名前のお店。広々とした店舗は売り場だけで2000坪。そのうち書籍コーナーはおよそ半分で、およそ3割が文具コーナーとなっています。日本一の面積を誇るドトールコーヒーも入り、国内最大級の大型複合書店となっているのです。
コーチャンフォーを運営するリラィアブルの近藤隆史専務は「お客様には幅広い年齢の方がいらっしゃいますので、滞在時間を長くしていただくことで、また欲しいものを新たに見つけていただく、宝探しのようなイメージをしております」と話します。
書籍売り場のすぐ横にはCDやDVDのコーナーがあり、その先には冷蔵品も含めた食品売り場があります。そこにはなぜかジンギスカンまで。
実はコーチャンフォーは、北海道発の大型書店チェーン。北海道の6店舗全てが“国内最大級”とうたい、関東に進出した2店舗も超大型店舗。書店の閉店が相次ぐ中で順調に売り上げを伸ばし続けてきました。
その秘密について近藤専務は「ランニングコスト、家賃、水道光熱費が経営を非常に圧迫している。自社ビルを建てることで、ランニングコストを下げる努力をしている。私どもの知恵を出せる、一つの利点」と話します。
今後も大型の複合型店舗の書店には勝機があるとみています。
「書店だけだと厳しい。ここで得たいろんなノウハウ・スキルを次の店は早速検討したい」(近藤専務)
ここ数年、全国で店舗を相次ぎ閉店しているTSUTAYAは去年12月、東京・丸の内に新たな店舗をオープン。国内最大級のシェアラウンジを併設し、ビジネスエリアを意識した店作りにしています。さらに8日には九州大学との産学連携を視野に入れ研究施設を併設した店舗をオープンする予定で、地域の色に合った複合型の大型店舗に切り替えています。
一方、大型化の難しい商店街の小さな書店も先月、新たな生き残り策に打って出ていました。世田谷区で、およそ30年以上続く「山下書店」。昼間は普通の書店ですが、午後7時になると自動ドアの前に立っても開かなくなります。
「午後7時から無人営業なっていて、QRコードを読み取ってもらう」(システムを開発したネブラスカの横山卓哉代表)
まずスマホでQRコードを読み取ると、山下書店のLINEアカウントに繋がります。そこで友達登録を許可するとドアが開くという仕組みです。2回目以降はQRコードを読み込むだけで開きます。午後7時から翌日の午前10時まで無人になり、キャッシュレス決済対応の24時間営業で実証実験を行っています。
「書店がもっと付加価値のある店舗になると思っている。本との出会いが一番強み。24時間、かつ無人営業ということで、システムを開発した」(システムを開発したネブラスカの横山卓哉代表)
店舗の作りも変えました。今までは外に雑誌などを置いて、中は見えない状態でした。それを24時間営業のために店の奥まで見えるよう作り替えたのです。
山下書店を運営するトーハングループのスーパーブックス。関東周辺でおよそ50店舗を持っていて、小型店舗でも生き残れる方法をこのシステムに見いだしています。
「3月20日から開始して約2週間にはなるんですけれども、無人営業にすることで、売り上げは前年比で2桁増の伸び率で推移している。全体の売り上げを非常に押し上げてくれている。この結果が他の店にもつながればと考えている」(山下書店を運営するスーパーブックスの村井徹平さん)
※ワールドビジネスサテライト
最終更新日:4/8(土)15:21 テレ東BIZ