スタバ勤務の68歳 ダメ元で応募

スターバックスの象徴ともいえる緑のエプロンを身に付け、フラペチーノを作る「68歳」の男性がいる。ホリデイ・スクエア豊橋店(愛知県豊橋市)で働く児玉吉弥さんは、65歳で定年退職をしてから3年以上、スターバックスで働いている。



 スターバックス コーヒー ジャパン(以下、スタバ)では、従業員の多様な働き方を進めるべく、さまざまなサポートを行っている。その中の一つに、業務を限定した働き方を可能とする「カフェアテンダント制度」がある。業務を商品の陳列、清掃などに絞り込み、短時間の勤務を可能にする制度だ。児玉さんもカフェアテンダント制度を活用し、スターバックスに入社。現在はレジ業務やバリスタに担当業務を拡げ、活躍している。

児玉さんは現在、週3日、1日5時間程度勤務している。レジ対応からドリンクを作るバーの仕事、仕込みや食器洗いなどをローテーションで担当する。

 入社当初はカフェアテンダント制度を活用しており、洗い物や仕込みなどの業務に専念していた。「かたくなに『バリスタはしない』と避けていました」と当時を振り返る。バリスタ業務を担当するきっかけは何だったのか。

 「店の混雑具合などを見て、バリスタ業務をできるようになった方が良いなと思い、教育を受けました。すると、バーでドリンクを作るのももちろんですが、レジでお客さまとお話をすることが大変楽しくなってきましたね。常連さんとお友達になって、お名前伺うこともあります」(児玉さん)

 働いていると、客から「珍しい」と話しかけられることも多いのだとか。「『もう定年していて、68歳なんです』と伝えると、みなさん驚かれるのが結構楽しいですね」(児玉さん)

 職場は学生など若者が多いというが、どのような会話をしているのだろうか?

 「若い人から私に声をかけることはなかなかできないと思うので、自分から声をかけるようにしています。なかには、同僚が恋バナをしてくれることも。仕事に来ているというより、楽しい時間を過ごさせていただいていますね」

 「20歳そこそこの学生さんにとって、60歳を過ぎた人と働く経験はなかなかないと思うので、 若い部隊をうまくサポートできたらうれしいなと思っています」 (児玉さん)

スターバックスでの仕事を通じて、暮らしも変化した。食器洗いやドリンクの調理を通して「家でも台所に立つことができるようになった」という。

 「今までは家族にお任せだったのですが、台所に立って料理や皿洗いをできるようになりました。今は、週に1回、私のパスタの日があるんです。かれこれ2年以上続けていますね」(児玉さん)

 「もともと家でじっとしていることは嫌いな性格で。お休みは何かイベントが欲しいんですよね。仕事があると、お給料もいただいているわけですから、それを有効に使って、有意義に過ごさせていただいています」(児玉さん)

そもそも同社は、Mission and Valuesに基づく採用を重視している。Mission and Valuesには「お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化をつくります。」とある。

 「Mission and Valuesに共感している方に、年齢や個性に関係なく、みなさんが輝ける場所を提供したいです。時間を限定して働くことは『不足』しているということではありません。シニアだから、カフェアテンダントだから、ということではなく、いろいろな方が今までの経験や知識、個性を生かして活躍していただきたいですね」(藤田さん)

 同社はこれまで、ドレスコードの撤廃や何かしらの障がいを持った従業員が働きやすい環境を整える「チャレンジパートナー制度」など、多様な働き方を進めてきた。

 今後はさらに業務の複雑性をシンプルにすることで、より多くの人が働きやすい環境を整備する姿勢だ。

 「今後は勤務時間が限られている方、いろいろな新しいことを覚えるのが難しい方、お盆だけ、GWだけなど短期で働きたい方など、より多様な働き方を実現するために、業務を整理し、組み立てなおしていきます」(藤田さん)

最終更新日:4/7(金)15:50 ITmedia ビジネスオンライン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6459478

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