1杯50円?コーヒーサブスクの勝算

コンビニ業界の大手、ローソンが、コーヒーのサブスクサービスを地域限定で開始し、話題を集めている。サブスクサービスはこれまでにもさまざまな試みがあったが、一部で失敗例も見られる中、ローソンは一体どのような点に勝機を見いだしたのであろうか。



 ローソンは4月4日から、愛知県内の「MACHI cafe」展開店舗で「MACHI cafe Prime(マチカフェプライム)」というサービスを開始した。月額料金1500円を支払うことで、1日1杯、通常価格110円の「マチカフェコーヒーS(アイス/ホット)」を店舗で受け取れる。毎日利用すればコーヒー代が「実質半額」となることから、全国展開を期待する声でSNSが賑わった。

 コーヒーサブスクの先行例として思い出すのが、JR東日本が展開する駅ナカコンビニ「NewDays」だ。当初、月額1800円・回数無制限のプランを提供していたが、1日に何度も受け取れるのが仇となったのか、今では利用回数に制限が設けられている新プランに移行している。

 今回、大手コンビニ3社の一角であるローソンがコーヒーサブスクに乗り出したことで、競合のセブン‐イレブンやファミリーマートの動向にも注目が集まる。

まず、コーヒーは弁当などのコンビニ取扱商材と比較して品質維持が容易で、運送が平易であることから毎日安定した供給が可能だ。そして、コンビニコーヒーの原価率が一般的に50%程度であることを踏まえると、ローソンにとっては「サブスク購入者全員が土日祝日含めて毎日必ずコーヒーのみを購入する」という条件でもトントンに収まる。

 そもそも、コーヒーはビジネス層を中心に一定の需要がある商品だ。このことから、サブスク需要があり、継続的な売り上げを生み出すことが期待できる。加えて、ビジネス層に需要がある商品は休日には平日ほどの利用が見込まれないことから、土日祝日に利用しない人が発生しやすい点もポイントだろう。

 ただし、毎日利用されたとしてもローソンにとっては店舗への集客効果というトータルの売上向上効果が期待できる。コーヒーのサブスクを利用することで、消費者はセブン‐イレブンやファミリーマートといったコンビニならどこでもいいというマインドではなく、毎日ローソンを選び・訪れる可能性が高まる。これにより、菓子や弁当、日用品といった他商品の購入も促される可能性があり、店舗全体の売上向上効果が期待できる。

 ローソンの客単価が23年2月時点で794円であり、22年2月期の粗利率30.9%を当てはめると、顧客1人当たりの粗利は約245円となる。仮に、コーヒーサブスクで来店した顧客が他の顧客と同じように買い物を行う場合、110円のコーヒーが実質半額となったとしても全体の粗利のうち、8割弱の粗利は保たれる。

 つまり、サブスクの効果を商品単体ではなく、集客全体の目線で見ると、今回の施策によるコーヒーの「値引き」は集客コストとして正当化される可能性が高いといえる。これはコンビニ各社が発行する弁当の100円引きクーポンなどと比較しても割安な集客施策と整理することもできるだろう。

最終更新日:4/7(金)10:47 ITmedia ビジネスオンライン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6459440

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