製造業景況感、5四半期連続で悪化

日銀が3日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業・製造業で前回12月調査から6ポイント悪化のプラス1となり、5四半期連続で悪化した。エネルギーや原材料価格の高騰が企業の収益を圧迫した。一方、大企業・非製造業は1ポイント改善のプラス20と4四半期連続で改善。新型コロナウイルス対策の行動制限が緩和されたことや、訪日外国人客の増加などが追い風となり、景況感はコロナ禍前の2019年12月の水準に並んだ。



 業況判断DIは、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた指数。

 大企業・製造業は、16業種のうち12業種で悪化した。業種別では家電など「電気機械」が15ポイントの悪化となったほか、住宅や設備投資の需要減などで「汎用(はんよう)機械」や「木材・木製品」も10ポイント以上悪化した。

 大企業・非製造業は、12業種のうち6業種で改善した。業種別では「小売り」のほか、リースやレンタカーといった「物品賃貸」、塾や遊園地などの「対個人サービス」の改善が目立った。

 人員が「過剰」と答えた割合から「不足」と答えた割合を引いた雇用人員判断DIは、大企業・非製造業で5ポイント悪化のマイナス33となった。1992年2月(マイナス37)以来の低水準で、人手不足感が強まっている。

 3カ月後の景況感を聞いた先行きDIは、大企業・製造業で2ポイント改善のプラス3となった。原材料価格の高騰が一服したことなどが理由。大企業・非製造業では、コスト上昇への懸念などから5ポイント悪化のプラス15となった。

 販売価格について「上昇」と答えた割合から「下落」の割合を引いた販売価格判断DIは、大企業・製造業で4ポイント悪化のプラス37となった。悪化は11四半期ぶり。ただ、大企業・非製造業では上昇傾向が続いており、日銀の担当者は、コスト上昇による「価格転嫁がピークを越えたとは言えない」と説明する。

 企業の消費者物価の見通しでは全規模全産業の1年後で前年比2・8%上昇となり、14年3月の調査開始以降で最高だった。3年後の見通しは2・3%、5年後の見通しは2・1%となった。【杉山雄飛】

最終更新日:4/3(月)20:05 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6458985

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