JR九州は29日、社員への出産祝い金を現行の1万円から30万~50万円へと大幅に増やすなど、子育て世帯への支援を手厚くする新たな賃金制度を発表した。人材獲得と子育て世帯の離職を防ぐのが目的で、基本給を2万~3万円増額して賃金を平均約12%引き上げるなど、2007年以来の制度見直しとなる。労働組合に提案し、24年4月の導入を目指す。
出産祝い金は現在の一律1万円から、第1子30万円▽第2子40万円▽第3子以降50万円――に大幅増額。一方、夫婦で働く世帯が増えていることを背景に、扶養手当のうち配偶者分を1万5000円から1万円に減額し、子ども分は4500円から1万円に増やす。
月給は、基本給を勤続年数に応じて2万~3万円増額。手当を除く大卒(総合職)の初任給は、18万2200円から21万2200円となる。採用区分も変え、幹部候補の総合職と運転士などの専門職を一本化して昇進の機会を等しくするほか、専門能力のある社員を優遇し、業績に応じたボーナスの増額幅を広げる。
人件費は年約35億円の増。JR九州の賃金水準は採用で競合する大手企業よりも低めだったといい、記者会見した古宮洋二社長は「優秀な人材を確保し、長く働いてもらうのは事業運営の基本だ。少子高齢化は鉄道会社にとって暗い未来しかなく、我々も社員の子育てを応援していきたい」と話した。【久野洋】
最終更新日:3/29(水)18:43 毎日新聞