燃料高 新電力195社既に撤退など

急激な燃料高を受け、大手電力10社の2022年度第3四半期(2022年4~12月)決算は、うち9社が最終赤字を計上した。ロシアのウクライナ侵攻や円安によるエネルギー価格の高騰を背景に大手各社が家庭向け電力の値上げ方針を掲げ、それに伴い電力小売業者(新電力会社)でも値上げの動きがある。帝国データバンクの2022年12月調査では、電気料金の総額が1年前と比較して増加した企業は86.6%にのぼった。

 一方、新電力会社の倒産や撤退で契約継続が困難となり、無契約状態となったため大手電力会社等から供給を受ける「電力難民」企業は2022年10月には4万5871件に急増。2023年3月は3万7873件まで減少したが依然として高水準となっている(電力・ガス取引監視等委員会3月15日公表)。新電力会社は財務基盤が脆弱ななか、契約停止や撤退する企業が相次いで発生している。

日本卸電力取引所(JEPX)の取引結果をみると、システムプライス平均(スポット市場での30分ごとの電力取引価格)は高水準で推移し、2022年12月には1キロワット時あたり25円で前年同月比47.1%増となった。一方で、電力・ガス取引監視等委員会の電力取引結果のデータから、帝国データバンクが推計した12月の新電力における電力販売価格平均は、供給1メガワット時(MWh)当たり約3万2270 円で前年同月の約1万9082円を上回り、1年間で約7割上昇した。電力需要が高まる各社が調達価格の上昇分を売電価格に反映させる動きが続いている。

 この結果、新電力の1MWh当たり販売利益(電力販売価格-電力調達価格)は、2022年12月は7232円に上昇し、前年同月(1733円)の4倍超まで増加した。2022年7月は461円の赤字で薄利の状況で「逆ザヤ」も懸念される事態にあったが、7月以降の調達価格が22~26円で推移するなか、電力販売価格平均は2~3万円台まで上昇したため、8月は183円、9月は3053円、11月には7790円となるなど、利益は電力ショック以前の水準まで改善傾向にある。電力調達価格が安定していけば、またプレーヤーとなる登録企業が増加する可能性があるが、一方で撤退企業の増加は継続しており、財務基盤の強弱で二極化していくとみられる。冬の需要期から夏期の需要期に向けて、今後の価格転嫁が需要家にどのように影響するかが注目される。

最終更新日:3/29(水)13:45 帝国データバンク

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6458530

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