働き方に対する現場の疑問を、社労士がQ&A形式で回答します。
Q: 当社の営業部の若手社員Aは、今期の目標が未達の状況です。そんな中、営業部長のBに対し有給休暇の取得を申請しました。すると、B部長が「へぇ……目標未達なのに、有給取るんだ」と発言したことで、問題になっています。
社員Aは「有給休暇を取ることをとがめるような発言をされ、ショックだった。有給休暇は労働者の権利なのに、上長が権利の行使を阻害するような言動を取るのはパワハラにあたるのではないか」と人事部に訴えています。
なお、(3)の「就業環境が害される」とは、その言動を受けた者が身体的または精神的な苦痛を与えられ、能力の発揮に悪影響を及ぼすなど、仕事をする上で見過ごすことができない程の支障が出ることを指します。この判断にあたっては、「平均的な労働者の感じ方」を基準とすることが適当と考えられています。
今回の「目標未達なのに、有休取るんだ」という言葉が、果たして「社会一般の労働者が同じように言われた時に、仕事をする上で見過ごすことができないほど支障が出るのか」については、見解が分かれるところでしょう。
一方で、ハラスメントは、受けた者がハラスメントだと感じれば該当しうるという労働者の主観が重視される一面があることも事実です。このため、当該の行為は「就業環境が害された」と判断される可能性は高いと考えられます。業務上明らかに必要のない言動はしないように心掛けたいものです。
大学卒業後、小売業の会社で販売、接客業に携わる。転職後、結婚を機に退職し、長い間「働く」ことから離れていたが、下の子供の幼稚園入園を機に社会保険労務士の資格を取得し社会復帰を目指す。
平成23年から4年間、千葉と神奈川で労働局雇用均等室(現在の雇用環境均等部)の指導員として勤務し、主にセクハラ、マタハラ等の相談対応業務に従事する。平成27年、社会保険労務士事務所を開業。
現在は、顧問先の労務管理について助言や指導、就業規則等規程の整備、各種関係手続を行っている。
顧問先には、女性の社長や人事労務担当者が多いのも特徴で、育児や家庭、プライベートとの両立を図りながらキャリアアップを目指す同志のような気持ちで、ご相談に乗るよう心がけている。
最終更新日:3/20(月)14:27 ITmedia ビジネスオンライン