思いやり消臭 靴下に新ニーズ

消臭効果が高く、男性向け靴下売り場で不動のポジションを獲得している「SUPER SOX(スーパーソックス)」。製造・販売する岡本は1年間に3億足以上の靴下を販売するトップメーカーだ(国内外のグループ合計)。消臭タイプ以外にも幅広く「足の悩み」に応え、レッグウエアの専業メーカーとして、人々を足元から支えてきた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、家庭内で膨らむ新たな靴下ニーズにも解決策を用意し始めている。

前年同期(1~9月)比で2020年は2倍以上の販売数を記録した、新たなヒット商品が「SUPER SOX」のフットカバーだ。まだ「フットカバー」という呼び方は、男性向けでは定着しきっていないとみえるが、簡単に言えば、丈の浅い靴下だ。靴に隠れる見え加減で、爪先からかかとにかけてを覆う。人気が先行した女性用では既におなじみになっている、割と新顔のレッグウエアだ。

フットカバーの人気を支えているのは、足元をすっきり見せたいという、比較的若い層に多いニーズだ。「靴とパンツの間に、靴下を見せたくないと考える層はかなり増えてきた。イタリア男性のように小粋で若々しい、足首を見せる靴の履き方が好まれている」(青柳氏)。フットカバーはこうしたニーズを受け止めた。

スーツの着こなしでも、「短めのパンツ丈が人気を集めるようになった。チノパンに代表されるカジュアルめのパンツで出社する機会も増えている」と、青柳氏はフットカバーの出番がこれからさらに広がると見込む。足首ゾーンの見せ方が変わっても、においの悩みは靴下につきまとう。15年間で累計1100万足以上を販売した「SUPER SOX」のノウハウをつぎ込んだフットカバーは「丈が短くても、消臭効果は頼もしい」(青柳氏)。

フットカバーはスニーカーにも相性がいい。丈の長い靴下は、スニーカーに合わせると、もっさりした印象になりがちだが、靴に隠れるフットカバーなら、「スニーカーならではの軽快感が損なわれない」(青柳氏)。休日のショートパンツ姿にもしっくりとけこみやすい。「靴の種類を選ばないから、靴と自在にマッチさせることが可能で、自然と出番が多くなる」という。

18年3月に女性向けの「脱げないココピタ」を発売したところ、SNS(交流サイト)で話題が広がり、フットカバーとしては空前のヒットに。「足の悩みに性別は関係ない」(青柳氏)と、6カ月後の同9月には「脱げないココピタ メンズ」を投入。かつて「SUPER SOX」を女性用に横展開したのとは逆に、女性用から男性用を派生させるという、ジェンダーをまたぐ商品開発を実現した。技術や顧客層、シーン、サイズなどを様々に組み合わせて、ヒット商品を縦横に拡張するのは、「岡本流ヒットの方程式」とみえる。

もともと医療用靴下を手掛けていた歴史もあって、岡本はレッグウエアを通して、「お客様の足もとの悩みに寄り添う」というミッションを掲げている。その姿勢を象徴するような商品が15年に登場した「靴下サプリ」シリーズだ。名前が示す通り、冷えやむくみをやわらげる、サプリメントのような効果を盛り込んでいる。以前から保温性や着圧機能をうたうレッグウエアは市場にあったが、「機能が疑わしい商品やファッション性が乏しい商品もあった」(青柳氏)。

「靴下サプリ」シリーズの「す~っとおやすみ ぬくもりソックス」は睡眠時の冷えを防ぎ、眠りをサポートする。膝・かかと・爪先の3カ所を特殊な発熱糸で集中的に温める設計も特許出願済み。「リモートワークで活動量が減ると、血行が鈍って、体が冷えがち。コロナ禍は靴下の役割も変えつつある」という。

最終更新日:1/14(木)11:09 NIKKEI STYLE

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6382169

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