宣言拡大 GDP2.5兆円損失も

政府による緊急事態宣言の発令の対象が11都府県に拡大することで、日本経済はさらに打撃を受けそうだ。全国が対象になった前回宣言より地域は限られるものの、消費の落ち込みを主な原因として、国内総生産(GDP)ベースで2兆5千億円の経済損失につながるとの試算もある。今後、宣言の期間や対象地域が拡大すれば、深刻さはさらに増すことになる。(岡本祐大)



 政府は7日、東京など1都3県へ緊急事態宣言を出すことを決め、飲食店の営業時間の午後8時までの短縮やテレワークによる出勤者数7割削減、不要不急の外出自粛などを求めた。

 今回、対象は計11都府県に広がり、同様の措置がとられるとみられる。11都府県は日本のGDP全体の約6割を占め、日本経済に大きく影響するのは確実だ。

 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、「緊急事態宣言中は外出自粛強化で外食や買い物など不要不急の家計消費が大幅に減少する」とし、この影響でGDPベースで2兆3千億円の損失があると試算する。政府の観光支援事業「Go To トラベル」停止の影響も加えると損失は計2兆5千億円まで広がるとみている。

 さらに、この影響で13万1千人の失業者が生まれうるため、「就業支援の強化が必要だ」とも強調する。

 一方、令和3年1~3月期のGDP成長率が、前期比1%分押し下げられる結果、0・9%減のマイナス成長に転じると分析するのは、みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストだ。11都府県の消費の落ち込みでで経済損失が起きることなどからの試算だ。小林氏は、医療体制整備が遅れているとも指摘。宣言が全都道府県に拡大する場合の損失はさらに膨らむと想定する。

 大和総研の神田慶司シニアエコノミストは、「現状では(経済の)二番底とまでいえないが、宣言期間が延長されたり、小売りの休業要請やイベントの中止など要請内容が拡大したりすれば、下振れリスクは大きくなる」と先行きの悪化を懸念している。

最終更新日:1/14(木)1:13 産経新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6382150

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