「うちもいつ被害にあうか、ひやひやしている」
決算取材の席につくや否や、ある上場外食チェーンの社長は記者にそう不安を打ち明けた。1月末からTwitterをはじめとするSNS(交流サイト)で次々と拡散された「迷惑客動画」が外食業界を震撼させた。
被害が深刻なのが、すしチェーンだ。しょうゆ差しや未使用の湯飲みをなめ回したり、流れているすしネタにいたずらをしたりと、その「犯行」手口は多種多様だ。あるすしチェーンの担当者は「ビジネスモデルの根幹である、お客さんとの信頼関係を揺るがす問題だ」と憤りをあらわにする。
廃棄量削減だけではなく、オペレーションの効率化にもつながる。通常、すしチェーンではネタや商品ごとに価格帯が分かれており、会計前に客が何円皿を何皿食べたか確認する必要がある。
一方、すべての注文がタブレット経由である場合、注文ごとに会計データが更新されるため、店員が皿数を確認する必要がなく、数え間違えるリスクも小さい。また「すしは新鮮な状態で、天ぷらなどのサイドメニューも熱々の状態で提供できることが最大のメリット」だと語る関係者も多い。
外食大手コロワイド傘下の「かっぱ寿司」は省人化・非接触型の店舗モデルへの改装を目下積極化しているが、改装とあわせてレーンの直線化も実施。2022年度から年間50~60店を改装する計画で、同社全体の店舗数約300店と比べてもその規模は大きい。
はま寿司とかっぱ寿司は、開店して間もない店舗や、退店の可能性がある店舗などを除くほぼ全ての店舗で直線型レーンを導入する意向だ。こうした取り組みは市場からも評価されている。
最終更新日:3/12(日)9:11 東洋経済オンライン