サバ缶品薄 背景に幼魚の獲りすぎ

水揚げの減少でサバ缶の原料が不足し、一部メーカーでサバ缶の休売が始まりました。販売を続けるメーカーでも、サバの原料不足に直面しているのは同様です。脂がのった大きめのサイズを確保するのは特に難しく、小型のサバで何とか供給を続けている状況です。



 小型のサバでも水揚げ量の減少で、魚価が上がっています。さらに円安でサバの輸出価格が上昇して輸出に回りやすくなり、ますます缶詰向けのサバ確保が困難になっています。

震災後に一時的に増えていたマサバの資源が、資源管理の機能不足で再び悪化した場合は、未来への大きなチャンスロスとなります。一時的に資源が急増したものの、すでに震災以前の資源状態に戻ってしまった、マダラ資源のような状態にならないことを願いたいところです。

 資源が大きく減少してしまえば、原料がなくなりサバ缶は不足してしまいます。ノルウェーサバでは脂がありすぎて、味噌煮などの味付け用には向いても、需要が最も多い水煮にはあまり向きません。水煮には国産原料が不可欠です。

さらに同年のサバ輸出量のうち、日本では食用に向かない小さなサバがアフリカ向けに10万トン輸出されています。つまり日本の食用には向かない30万トンものサバが、水揚げされているということなのです。

 さらに言えば、これらのサバは大半が小型ですので、数量だけでなく、すさまじい尾数です。このため、資源量に与える悪影響は測りしれません。

 日本向けも含む同年のノルウェーサバ漁獲量も約30万トンでした。しかしながら、日本の非食用向けの30万トンの水揚げ量(食用も含めると43万トン)と、食用に向かない小さなサバは漁獲せず99%が食用であるノルウェーとでは、その用途も未来も含め全然違うのです。

トロール漁船は、巻き網船より深い水深でも漁獲が可能です。しかしながら、そのロシア漁船も漁獲量が2021年漁期(~12月上旬までの比較)の4割減といった情報があります。

 万一マイワシにサバが底に追いやられているとしても、トロール漁船の漁獲には影響はありません。しかし資源量が少なければ漁獲量は減少します。日本の巻き網漁船の関係者に聞くと、深いところにいてもサバの魚群がいれば確認できるそうです。つまりサバが獲れないのは、資源量が少ないからと考えられるのです。

最終更新日:3/2(木)9:17 東洋経済オンライン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6455617

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