北海道のとある牧場では今、毎日1.75トンの生乳を廃棄していて、その量は金額にして17万円です。背景にあるのはコロナ禍に端を発した生乳余り。さらにエサ代も高騰しています。そんな中、国が推奨していたからこそ『ロボット牛舎』で事業を拡大したのに、一転しての減産方針で苦悩する関西の牧場を取材しました。
国内での在庫が増えている一方で、国は1993年に妥結した協定に基き、毎年度13万7000トン(生乳換算)の乳製品を海外から輸入し続けています。
これに専門家は『国内の生産量を減らす前にまず輸入量を減らすべきだ』と指摘します。
(東京大学・大学院(農業経済学) 鈴木宣弘教授)
「輸入を減らせばいいわけですよ。何が国際的な信頼関係ですか。このように14万トンもの減産を北海道だけで要請されて、『牛を殺せ』『牛乳を捨てろ』と言いながら、14万トンを無理やりに、やらなくてもいいものを輸入しているんですね。海外の値段の方が高くなっているんですよ」
返済を抱える中での増産から減産へという突然の方針転換。京都府では現状、生産抑制を回避できそうだといいますが、政府の方針に谷さんは『はしごを外されたようだ』と困惑しています。
(谷牧場 谷学さん)
「(牛の)あの目を見て、国の政策で『淘汰を推奨していますよ』と言われても、やっぱり命なので。机の上で鉛筆をなめて簡単に『頭数を減らしたら牛乳減るね』とか『また足りなくなったら頭数を増やそうね』とか、そういうのはちょっと酪農家としては受け入れがたい」
二転三転する政策に翻弄される酪農家たち。3月1日に始まる減産政策で酪農業界の未来はどう進んでいくのでしょうか。
(2023年2月28日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特集』より)
最終更新日:3/1(水)19:09 MBSニュース