新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を受けた県独自の緊急事態宣言の行動要請は9日、県内全域で始まった。3連休の初日ながら、普段にぎわう観光地や商業施設から人の姿は消えてガラガラ。人気のレストランは自粛ムードで来客ゼロとなり、時短営業を決めたスナックは早々に店じまい。普段にぎわう通りを冷たい風が吹き抜けた。
昨年11月に開業した宮崎市・JR宮崎駅西口の複合商業施設「アミュプラザみやざき」の人影はまばら。食事を買いに来た近くに住む会社員男性(42)は「普段の休日より明らかに人が少ない。自粛要請を守っている人が多いのだろう」。同市・広島通りのレストラン「パリの朝市」のオーナーシェフの田中鏡一さん(61)は「今は宮崎の底力で乗り越える時期。テークアウトなどを利用して通りの店を支援してほしい」と呼び掛けていた。
繁華街「ニシタチ」では県が要請した時短営業の終了時間となる午後8時が迫ると人影はさらに減り、通りのちょうちんの明かりも消えた。時短営業を決めた「果物屋cafeマルイ」オーナー松葉裕子さん(66)は「つらい状況ばかり続かないと信じて、元気な姿をお客さんにアピールしたい」と力を込めた。
感染者集団(クラスター)の発生が相次ぐ都城市。週末は1日平均100組ほどが来店する中町フードホール「王様のレストラン」の店内飲食はゼロだった。中村泉店長(37)は「これほど閑散としているのは経験したことがない」。
スナックや居酒屋が軒を並べる日南市の油津商店街周辺も「営業時間短縮」といった張り紙が目立つ。県の要請を受けて休業を決めたスナックの女性店主は「日南でも再び新規感染者が出始めた。店を開けるのは怖い」とおびえていた。
観光地も静かな一日となった。高千穂町・高千穂峡の遊覧貸しボートの利用客はぽつりぽつり。一日の利用は20組にとどまった。日南市飫肥の観光案内所の担当者も「晴天なのに家族連れの姿もなく、滞在時間も比較的短い」と嘆いた。宮崎市の宮崎ブーゲンビリア空港も搭乗客の姿は少なく、宮崎空港ビルの前田剛宏総務部長は「成人式の帰省も少なく、利用客は大幅に減少している。いつまで続くのか」と肩を落とした。
最終更新日:1/10(日)14:00 宮崎日日新聞