新春の初売りスタートとともにメディアに取り上げられる福袋は、その年々のトレンドを取り入れた内容で時代を映す鏡でもある。
しかし2021年を迎えた今、そんな福袋にも変化が生まれようとしている。なかでもファッション福袋は大きな帰路に立たされている。
今年はコロナ感染者急増によって、各自治体から「静かなお正月を」という呼びかけが行われた。そうした社会環境の中、元旦営業店と2日あるいは3日から営業スタートする店舗に、初売りのタイミングが分かれた。
しかも2日夜には、首都圏の1都3県の知事から政府へ「緊急事態宣言」の要請があり、初売り・福袋は例年の様な活気とはならなかったようだ。
いまファッション業界全般で福袋商戦の見直しが進んでいる。国内最大規模の売上を誇る「ユニクロ」や「GU」は福袋を初売りの目玉としては扱わない。「ユナイテッドアローズ」をはじめとしたセレクトショップでも、数年前から福袋を展開する店舗が減少。「グローバルワーク」や「niko and ...」などを手がけるアダストリアグループは一昨年、「ライトオン」でも昨年から福袋の取り扱いを止めてしまった。
理由はさまざまだが、代わり映えのしない内容とマンネリ化による飽きもあって、年々、福袋の消化率が悪化していったのも大きい。
一方で、全般的な動きとは別に上手く取り組めている企業もある。オンライン業態は、この初売り・福袋との相性が良い。朝早くから行列を作る行動そのものが疑問視されるコロナ禍で、事前のオンライン予約で並ばす受け取れるスタイルは好評だ。
今年、事前にオンライン予約を実施したある企業では、前年比200%超えの受注率だったという。現在の顧客ニーズをしっかりと汲み取れた結果だといえよう。
また、福袋の中でも可能性があるのはブランド&キャラクター福袋だ。色、形、素材といった洋服本来の価値感よりも、ブランド力、キャラクターの方が価値が分かりやすく、お得感が得られやすいため、根強い人気がある。
例年、この手の一部人気ブランドやスニーカーには“転売ヤー”達が、人海戦術を駆使して繰り返し購入していく姿が風物詩だったが、今年はその姿も少なかったように思う。転売ヤー達もオンライン経由での購入に手法を切り替えつつあるのかも知れない。
最終更新日:1/10(日)16:56 現代ビジネス