ドンキのレジ横「1円玉」どこに

「1円玉が足りない時だけお使いください」

 「お会計時、1円玉が足りない時、ボックス内の1円玉をどうぞご利用ください!」



 かつて、ドン・キホーテのレジ脇にはたくさんの1円玉が入ったボックスが置いてあった。ボックスは店舗によって異なっており、空のタッパーのようなものや、インテリア雑貨を活用したものもあった。ボックスには、冒頭にあるような説明文が貼られていた。

 最近、このボックスを見かけなくなったが、どうなっているのだろうか。ドンキを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の広報担当者に聞いた。

 1円玉が入ったボックスの正式名称は「ジャストボックス」だ。会計の際に1円玉を4枚まで自由に使えるサービスで、取り出す際に特別な条件などはなかった。もちろん、買い物以外での使用は禁止とされていた。導入されたのは2000年前後だが、正確な時期は分からない。

 同サービスが生まれた背景には消費税があるという。日本で消費税が導入されたのは1989年。当初の消費税率は3%だったが、段階的に引き上げられた。現在のようにキャッシュレス決済は普及しておらず、現金で決済するシーンが多かった。担当者は「消費税の支払いで、お客さまのお財布の中が1円玉だらけでパンパンになってしまわないように、端数の小銭をキリ良く支払えるためのサービスとして始めました」と説明する。

 具体的な利用シーンとしては、「123円を支払おうと思ったけど、1円玉を持っていない。120円だけ財布から取り出して、3円はジャストボックスから出そう」といったものが挙げられる。

 ドンキの公式Twitterでは、ジャストボックスの利用を促進するため、過去に次のような漫画を投稿している。公式キャラクター「ドンペン」が、商品を持ってレジに行く。レジ係から「128円です」と告げられたので、財布の中を確認すると126円しか入っていないことに気付く。ピンチに陥ったドンペンだが、ジャストボックスから1円玉を取り出すことで無事に買い物できたという内容だ。漫画には「お買い上げ金額に関係なく4円まで使えるよ! ドンキのジャストボックス、遠慮せずに使ってね!」というコメントがある。当時、ドンキが積極的に利用を促していたことがうかがえる。

2014年3月、ドンキ独自の電子マネー「majica(マジカ)」のサービスがスタートすると、ジャストボックスは「円満快計(かいけい)」というサービスに統合された。そのため、現在はジャストボックスは残っていない。

 円満快計とは、「majicaカード」または「majicaアプリ」をレジで提示すると、1001円以上の買い物をした際に「一の位」の端数が5円もしくは0円になるというもの。最大4円までカットする会員限定のサービスだ。ジャストボックスから切り替えた理由の1つは、majica会員獲得の一助とするためだ。また、レジオペレーションの負担を軽減する狙いもあったという。

 財布の中の1円玉を減らすために生まれた独特なサービスは、形を変えて生き残っていた。

最終更新日:1/21(土)6:30 ITmedia ビジネスオンライン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6451265

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