23年度の公的年金増額 実質目減り

厚生労働省は20日、2023年度の公的年金額を、67歳以下の場合は2・2%、68歳以上は1・9%引き上げると発表した。増額改定は3年ぶりとなるが、少子化の進行に合わせて年金額を抑制する「マクロ経済スライド」が3年ぶりに適用されるため、支給額は物価上昇分に追いつかず、実質的に0・6%目減りすることになる。



 67歳以下で受給する場合、23年度の年金額は、自営業者らが入る国民年金は満額(40年間、保険料を納めたケース)で月6万6250円(前年度比1434円増)、会社員らの厚生年金は、平均的な給与で40年間働いた夫と専業主婦の「モデル世帯」で月22万4482円(同4889円増)となる。68歳以上の場合は、国民年金は月6万6050円(同1234円増)、厚生年金はモデル世帯で22万3793円(前年度比4200円増)となる。

 年金額の見直しは、67歳以下は賃金の変動率を、68歳以上は物価の変動率を基に計算するため、改定率が異なる。いずれも4、5月分を支給する6月の受け取り分から適用する。

 また、24年度の国民年金保険料は月1万6980円(同460円増)。厚生年金の保険料率は18・3%(労使折半)で変わらない。

 年金額は毎年度、物価と賃金の変動率に応じて見直される。総務省が20日発表した22年の消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)は前年比2・5%の上昇で、これを基にした賃金変動率は2・8%増だった。賃金が物価を上回る場合は、賃金に合わせて年金額を見直すことになっており、本来は2・8%増となる(67歳以下の場合)。

 ただ今回は物価と賃金がともに上昇したため、上昇幅よりも年金額をカットするマクロ経済スライドが適用される。適用は3年ぶり4回目。04年の制度改革で導入された仕組みで、デフレ時には適用されなかった。18年度から、カットできなかった分を翌年度以降に繰り越すようになったため、繰り越しの21、22年度分に23年度分を上乗せした計0・6%を差し引いた結果、67歳以下の場合で伸びは2・2%にとどまった。【石田奈津子】

最終更新日:1/20(金)18:08 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6451184

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