元ラーメン店主 低評価に思うこと

青森県八戸市で1日平均100人を超える来客のあったラーメン店「ドラゴンラーメン」が2022年10月閉店しました。原価高騰による採算悪化、人手不足が大きな理由ですが、閉店したもう一つの理由にインターネットの口コミがありました。高評価に混じって投稿される「行く価値がない店」「毎回腹を壊す」など一方的な批判に心を痛めていました。店主自身が口コミで感じていたことをつづります。

印象的な出来事があります。

 開店から2ヵ月ほど経ったある日の夜、妻が今までで一番ひどく書かれているね、と悲しそうにスマートフォンを持ってきました。画面を見ると、Instagramの画面には、自分の作ったラーメンの写真があり、平均レベルにまったく達していない。行く価値がない店、など、店を罵倒する内容が長文で書き込まれていました。

 それを見たときの気持ちは、悲しい、の一言でした。

 固まる私を見て、息子や娘も心配そうに寄り添ってきました。後で周囲の店主に聞いてみると、書き込んだのは近隣のラーメン店を訪れてはひどい投稿をすることで有名な人なのだそうです。

 投稿者は名誉棄損にならないラインを狙った書き込みをするようで、ほかの店主が弁護士に相談した際も、法的な追及は難しい旨の返答があり、泣き寝入りしたそうです。

以前、低い評価を投稿する人の考えを聞く機会がありました。店の悪い点を指摘し、改善を促すために「良かれと思って」投稿しているそうでしたが、これはまったくの的外れです。

 インターネットに悪い投稿をすることは、一般的な仕事の環境でいえば、ミスを晒し上げにするようなものです。そうされた場合に感謝する人はいません。

 本当に店のために改善を促すならば、まずはメールやDM(ダイレクトメッセージ)を使って指摘することもできます。

 口コミへの有効な対策はないため、サービス業には口コミ対策業者から毎日のように営業の電話やメールが来ます。内容は、一定額を支払えば、高評価の口コミを投稿してくれるというものです。

 一部のオーナーはサービスを利用し、評価を買っています。そのような店は、見ればすぐにわかります。同じような名前で高評価の投稿が続き、ライバル店に比べて異常に評価件数が多くなります。

 適切な評価システムが崩れることは、店にとっても消費者にとっても不幸ですが、現在の仕組みはフェアとは言えません。

最終更新日:1/7(土)19:43 ツギノジダイ

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6449908

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