近年、「一人焼肉」や「一人カラオケ」などの単独での行動をポジティブにとらえる「ソロ活」という言葉を聞くようになったが、この動きはクリスマスでも例外ではないらしい。
多くの若者が、クリスマスを一人で過ごすことに対して「気にしない」と回答する調査結果もあるなか、一人でクリスマスを楽しむ人たちに照準を合わせた商品やサービスを展開する企業も現れている。
今年、「20代男性の4割がデート経験をしたことがない」と内閣府が発表。若者は「恋愛離れしている」「草食化している」との指摘も上がったが、それに異を唱える専門家もいる。
クリスマスを巡る、企業の新しいマーケティングと若者たちの価値観を追った。
人々が今年のクリスマスをどのように過ごすのか。「BIGLOBE」が、全国の20代~50代の男女1,000人を対象に、年末年始の過ごし方に関する意識調査を実施した。
「クリスマスの予定」についての質問に57.8%が「予定はない」と回答。
また、「クリスマスをひとりで過ごすことについて」は、全体の74.2%が「あまり気にしない/気にしない」と回答している。年代が上がるにつれ、上記の回答をする人の割合は多くなるものの、20代に限定しても約6割が気にしていない。
クリスマスに予定がない人は、マイノリティではないし、実際に一人で過ごすこと自体を否定的に捉えない人が多くいることが分かる。
独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者・荒川和久氏に話を聞くことができた。
インタビューの冒頭、返ってきたのは「若者は恋愛離れしていない」「草食化もしていない」という、歯切れの良い回答だ。
統計を追える1980年代以降の範囲だが、今も昔も、恋愛しているのは3割の“恋愛強者”しかいないという。
荒川氏
「そもそも皆婚時代の半分以上はお見合いで成立していたんです」
そして、今は3割の“恋愛強者”が結婚せずにいることが未婚化や婚姻減少の一つの要因だと指摘する。
荒川氏
「今は、“恋愛強者”が別に結婚しなくてもいいや、という空気感になっている」
「もてる人はもてまくるわけだから、『1人の女性と結婚しなくてもいいじゃん』となっちゃう」「すると、弱者の中から強者に変わる人が生まれなくなる。ずっと同じ人間がもてまくる」
「20代男性の4割”デート経験なし”」「“一生結婚するつもりはない”過去最高」
こういったニュースが報じられる度に、SNS上では多くの人に拡散されるし、コメントも集まる。
なぜ、これほど人々が「若者の恋愛」に関心を持ってしまうのか。
荒川氏によると、一つは、危機感をあおるメディアへの突っ込みだという。
「何も分かってないなと。いまさら何言っているのと。メディアの方が馬鹿にされている」
もう一つは、「近頃の若者は」と言いたくなってしまう、“おじさん世代”の性(さが)だという。
「一種のマウント。『近頃の若者は』というのは、もう何千年前から続いて、おじさんは若者を『近頃の若者』と言いたがる。今の20代の人たちも40年後は同じような、おじさんになる」
変わるものもあれば、変わらないものもあるらしい。
「恋人たちのクリスマス」だとか、「クリぼっち」だとか、なんでも枠にはめたがるのは私たちの悪癖なのかもしれない。
誰かと過ごすことも、一人で過ごすことも、それぞれの過ごし方を肯定できる。誰かと比べることはやめて、枠にはまらないクリスマスを迎えよう。
最終更新日:12/23(金)22:09 テレビ朝日系(ANN)