くら寿司、2期連続で営業赤字

回転ずしチェーン大手のくら寿司は12日、来年10月までに中国本土に初進出すると発表した。中国への出店計画は以前に公表していたものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期していた。中国が感染拡大を完全に封じ込める「ゼロコロナ」政策の緩和を発表したことなどを受け、くら寿司は中断していた市場調査を再開。出店地は明らかにしていないが、上海が有力とみられる。



準備が整えば来年10月までに中国に1号店を出店し、その後10年間で100店舗の出店を目指す。台湾にはすでに出店している。広報担当者は「今後の出店は上海など沿岸部を中心に検討している」とした。

一方、この日発表した令和4年10月期連結決算は、売上高が前期比23・9%増の1830億円と2期連続で過去最高を更新したものの、原材料高や設備投資費の増加が響き、営業損益は11億円の赤字(前期は24億円の赤字)と2期連続の営業赤字となった。最終利益は60・8%減の7億円。

岡本浩之取締役は「例えばマグロが2年前に比べて約2倍、サーモンは約2・5倍となり、水道光熱費もこの1年間で40%ほど上がっている」と、利益を圧迫した背景には急激な食材価格の高騰があると説明し、今後さらに悪化する可能性もあるとみている。入店から会計まで店員を介さず非接触で利用できる店舗のシステムを全店に導入したことで、繁忙時間帯のホール係を減らす対応もしているが、人件費の上昇を吸収できるまでには至っていないという。

同社は今年10月から、昭和52年の創業以来初となる価格改定に踏み切り、最も安い1皿110円を115円に値上げした一方、高価格帯の220円は165円に下げた。価格改定直後の10月は既存店の客数が前年同月比0・5%減とほぼ横ばい、客単価は6・4%増だったが、11月になると客単価は5・2%増と順調に推移したものの、客数が8・4%減と下降に転じた。「日々の買い物で値上げを実感するようになり、生活防衛のため外食を減らそうとの意識が出ている」(岡本取締役)という。

一方、大阪・道頓堀や東京・原宿などの都市型店舗では新型コロナ感染防止の水際対策緩和を受け、訪日外国人客の利用も増えているという。ただ、「店舗の多くは郊外店であり、国内景気の影響が大きい」と業績回復は国内客の呼び込みがカギになるとみており、岡本取締役は「足を運びたいと思ってもらえるような販促や施策が必要だ。戦略的な価格帯と位置付ける165円メニューを1皿多く取ってもらえれば客単価が上がるため、ここに魅力的な商品を打っていきたい」と述べた。(田村慶子)

最終更新日:12/13(火)12:52 産経新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6447457

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