12月12日は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が7件判明、全国で累計4,692件(倒産4,535件、弁護士一任・準備中157件)となった。
件数は2022年に入って増勢を強め、9月(206件)、10月(226件)に引き続き11月も207件に達し、3カ月連続で200件を超えた。12月も12日現在で92件と高水準で推移している。
2021年の年間件数は1,718件で、2020年の843件に比べて2倍に増加。2022年は11月までに2,039件と、すでに前年1年間を大幅に上回った。
倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計242件判明した。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で4,934件に達した。
国内の企業数(358万9,333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は0.137%で1,000社に1社が破たんした計算となる。都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.248%で唯一の0.2%台、一方最低は宮崎県の0.060%で、地域間での格差がみられる。
倒産抑制に効果を発揮してきたコロナ関連融資は、返済再開の本格化や利子補給期間の終了を控え、利用企業の返済原資の有無が焦点となってきた。
一方、企業支援は私的整理メニューの拡充や事業再構築を促す施策の検討など、新たな段階に移行しつつある。ただ、経営資源の乏しい小規模事業者ほど、業績回復のめどや先行きの見通しが立たず、日々の資金繰りに追われるケースが大半だ。ここに原材料価格や人手不足によるコストアップが負担となってのしかかる。コロナ関連倒産は、支援の枠組みから脱落する企業を中心に、当面増勢ペースが続く可能性が高い。
【業種別】(負債1,000万円以上)~飲⾷が最多 建設、アパレル、⾷品卸、宿泊が続く~
業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で734件に及ぶ。営業制限が続いた地域を中心に、経営体力の消耗やあきらめによる飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性も強まっている。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が527件に達した。小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の344件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が206件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が159件と、上位を占めている。
【負債額別】(負債1,000万円以上)
負債額が判明した4,648件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の1,724件(構成比37.0%)、次いで1億円以上5億円未満が1,505件(同32.3%)、5千万円以上1億円未満が914件(同19.6%)、5億円以上10億円未満が253件(同5.44%)、10億円以上が252件(同5.42%)の順。
負債1億円未満が2,638件(同56.7%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも12件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。
【形態別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した4,535件の形態別では、破産が4,079件(構成比89.9%)で最多。次いで民事再生法が171件(同3.7%)、取引停止処分が162件(同3.5%)、特別清算が104件、内整理が14件、会社更生法が5件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。
【従業員数別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した4,521件の従業員数の合計は4万3,145人にのぼった。平均すると1社あたり約10人となる。
4,521件の内訳では従業員5人未満が2,592件(構成比57.3%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が879件(同19.4%)、10人以上20人未満が568件(同12.5%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は上半期で24件に増加し、7月以降もすでに27件発生している。
最終更新日:12/12(月)16:57 東京商工リサーチ