そろそろ来年の年賀状を準備する時季。でも何となくおっくうに感じる方、いませんか。「年を取って字を読むのも書くのもつらい…」。長年続けた年賀状のやりとりをやめる「年賀状じまい」が高齢者を中心に広がっている。相手に失礼なくどう伝えるか。一般社団法人「手紙文化振興協会」認定講師の田中美和さん(58)=福岡県久留米市=に年賀状の上手なしまい方を聞いた。 (本田彩子)
年始に書状を送る習慣は平安時代の貴族の間で始まり、江戸時代には武家や裕福な商家などに広がった。当時は家々を訪ねて年賀のあいさつをするのが一般的だったが、遠方には飛脚を立てて書状を出したという。明治期に郵便制度が始まり新たにはがきが発行されると、年賀状は年始の儀礼として庶民に定着した。
田中さんによると、近年は社会生活の多様化などにより儀礼としての意味合いが薄れる一方、スマートフォンの普及によりメールやLINE(ライン)などの通信アプリで年賀のあいさつをする人も増えた。
田中さんは「年賀状は近況を知らせたり感謝を伝えたりして相手との関係性を深めるのが目的。時代とともにその手段が変化しても不思議はない」と話す。
最終更新日:12/2(金)12:20 西日本新聞