全国の企業や家庭を対象にした政府による節電要請期間が1日、スタートした。九州各地でもクリスマスに合わせたイルミネーションの点灯時間を短くしたり、商業施設の照明を落としたりして、電力逼迫(ひっぱく)の冬を乗り越えようという動きが始まっている。
節電要請は冬季としては2015年度以来7年ぶりで、期間は23年3月末までの4カ月。ただ、政府は数値目標などを設けておらず「無理のない範囲」での協力を呼び掛けている。
◇イルミ時短、商業施設も照明落とし
佐賀市中心部で開かれているイルミネーションイベント「サガ・ライトファンタジー」は1日から、点灯時間を午後11時までと1時間前倒しした。実行委事務局を務める市の担当者は「楽しみにしている人もおり、節電の数値目標もないので、まずは最低限の対応とした。状況によって柔軟に対応したい」と話す。
福岡市博多区の商業施設「ららぽーと福岡」も当面は照明の明るさを落としたり、平日は駐車場の一部を閉鎖したりして電力消費を抑える方針だ。担当者は「利用客に快適に過ごしてもらえる環境は保ちたい」と明かす。
要請前から節電を進めていた施設もある。長崎県佐世保市のリゾート施設「ハウステンボス」の担当者は「SDGs(持続可能な開発目標)の下で既に節電に取り組んでおり、新たな対応の予定はない」と説明する。
九州電力によると、エリア内の電力使用率が92%を超えると需給状況は厳しくなってくる。ただ、11月下旬以降の80%台が続いており、電力不足が差し迫った状況とはなっていない。
◇「節電の言葉あまり聞かない」
こうした中、市民に節電への切迫感が広がっていないのでは、との見方もある。熊本市内の家電量販店は展示用のテレビや照明器具の電源を切るなどして節電対策を進めているが、店員の男性(36)は「来店客から『節電』の言葉はあまり聞かない。政府の呼び掛けが、家庭にはあまり浸透していないのでは」と首をかしげた。【平川昌範、城島勇人】
最終更新日:12/1(木)19:46 毎日新聞