共働き夫婦が増加するなか、コロナ禍で宅配ニーズが増えたこともあって、いつでも荷物を受け取ることができる宅配ボックスが自宅に必要不可欠だと考える人が増えている。
こうした状況を反映してか、マンション選びで重視するポイントを聞いた調査で、新築・中古にかかわらず「宅配ボックス」がトップに挙がった例も出てきた。
ニーズの増加に対応して、新築マンションでは全戸に宅配ボックスを設置する物件が増えているほか、冷凍食品を扱える宅配ボックスも登場してきた。マンションにおける宅配ボックス進化の現実を紹介しよう。
マンションでは新築・中古ともにトップだった「宅配ボックス」だが、一戸建てでは新築・中古ともにベスト10圏外だった。一戸建てでは、「宅配ボックス」の付いた建売住宅や注文住宅が増えているし、あらかじめ付いていなくても、購入後に自分の判断で設置が可能で、機能にもよるが、安い機種なら数万円から購入できるので、さほどこだわる必要がないのだろう。
しかし、マンションはそうはいかない。あらかじめ設置されていないと、後付けは簡単ではない。設置されていたとしても、戸数に対して、設置数が少ないとすぐに満杯になって、使い勝手が悪くなるので、どんな宅配ボックスが付いているのか、戸数に対して十分な数があるのかなど、気になって当然だろう。
2020年の新型コロナウイルス感染症拡大以降、新たなトレンドも出てきた。
コロナ以降、宅配便のニーズが増えたのは承知の通りだが、なかでも冷凍食品の扱いが増えている。しかし残念ながら通常の「宅配ボックス」では、冷凍食品を扱えないため、大きな課題となってきた。
そこで、東急不動産はパナソニックと提携して、冷凍食品を取り扱える宅配ボックスの社会実証実験を進め、その成果を踏まえて2024年3月引き渡しの「ブランズタワー谷町四丁目」「ブランズタワー大阪本町」の2物件で冷凍機能の付いた「宅配ボックス」を採用することになった。国内の分譲マンションとしては初の「冷凍・冷蔵宅配ボックス」になるそうだ。
このタイプは、マンションエントランスへの設置が前提となっているが、今後は各戸玄関前の宅配ボックスにも「冷凍・冷蔵宅配ボックス」の設置が増えてくるのではないだろうか。
マンション選びにおいては、冒頭で触れたように「宅配ボックス」が「最初から最後まで重視した仕様・設備」のトップに挙がっている。分譲会社にとっては、先進的な「宅配ボックス」の設置が、周辺物件などとの差別化になり、格段に販売しやすくなると期待されるから、今後も「宅配ボックス」の進化が進むことになるはずだ。
マンション選びにおいても、「宅配ボックス」の存在がいっそう重要になってきそうだ。
最終更新日:11/29(火)12:03 現代ビジネス