掃除用品やお掃除サービスのレンタルを行う「ダスキン」が運営するミスタードーナツの業績が急回復しています。一時は収益性が低下し、赤字が続いたことで2015年3月期に1316店あった店舗は、2022年3月期時点で979店舗へと約340店舗縮小しました。
これにより退店による収益性の向上と、コロナ禍によるテイクアウト需要が追い風となり、1店舗当たりの稼ぐ力は大幅に改善しました。ダスキンは収益性を高めたミスタードーナツの出店を再び強化し、2025年3月期に営業利益をおよそ1.25倍に引き上げる計画を立てています。
ミスタードーナツの店舗数は2021年3月期にかけて減少を続けましたが、売上高はコロナ直前の2020年3月期から増加に転じます。
つまり、店舗を削減したことによって1店舗当たりが稼ぐ売上高が増加したのです。1店舗当たりの売上高の推移を見ると、2017年3月期を底に反転しているのがわかります。
2017年3月期は1店舗当たりの売上高が6850万円。2022年3月期は9490万円へと1.4倍に跳ね上がっています。収益性を大幅に改善しました。
ミスタードーナツで見逃せないのが、段階的な値上げを実施している点。2022年3月にドーナツ、パイ、マフィンを対象に10円程度の値上げを行いました。さらに2022年11月25日にも今年2回目の値上げを実施。10円から20円引き上げました。
小麦粉や輸送量、円安による原材料価格の高騰で、一部商品の値上げは仕方のないものになりました。マクドナルドや牛丼チェーンなどのファーストフード店は軒並み値上げに踏み切っているため、消費者の理解を得やすいタイミングだと言えます。
マクドナルドは値上げが奏功し、収益性を高めています。しかし、スシローは値上げが客離れを引き起こしました。出店攻勢に方向転換したミスタードーナツの値上げが、集客にどのような影響を与えるのか注目のポイントです。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>
最終更新日:11/29(火)13:26 bizSPA!フレッシュ