売れるか不安だった 白湯の商品化

アサヒ飲料が1日、ホット専用のペットボトルウォーター『おいしい水 天然水 白湯』を発売した。“白湯が体に良い”と言われるようになって久しいが、これまで売り場で見かける機会は少なかった。同社内でも「“天然水を温めただけ”の商品が本当に売れるのか?」などと疑問の声が上がったというが、早くも想定を上回る出荷数に担当者も驚いているという。ありそうでなかった“白湯”を商品化した狙いとは。

そこでアサヒが目を付けたのが、“白湯”だ。かねてから消費者よりリクエストが多数寄せられていたというが、なかなか商品化には踏み切れなかった。実はこれまでも、ホットの天然水は市場に存在し、アサヒでも’14年に一度発売していた。しかし、その当時の売上は芳しくなく、継続販売には至らなかった。

「今回も、“天然水を温めただけ”の商品が本当に売れるのか、という疑問の声が社内から上がりました。しかし、白湯について調査していくうちに、昔に比べ、白湯の飲用経験率が増加している点や、女性だけでは無く、最近では男性も女性と同程度の飲用経験があることが分かりました。また、実際に弊社の男性社員に白湯について聞いたところ好意的な意見が多く、改めて白湯にはニーズがあると確信しました」

 健康意識や美容意識の高まりから、女性は「冷えや寒さ対策」として、男性は「朝からカフェインを取りすぎないように、意識して白湯を飲んでいる」といった需要があることが分かった。そのためターゲットは女性に絞らず、全世代男女に向けたデザインに。商品名については、’14年に販売していた『ホット天然水』ではなく、『白湯』を採用した。

「市場には『お湯』や『温めた水』と表現している商品がありましたが、認知が高い『白湯』という言葉にすることで、お客さまに手に取って頂けると考えました。白湯の飲用経験率の高さ、社内での動向調査、商品名のわかりやすさなどを踏まえ、改めて社内を説得し、この度発売に至りました」

 本商品は、『おいしい水 天然水』同様、長い時間をかけて地層にしみ込んだ天然水を外気に触れないようにくみ上げ、ペットボトルに詰めている。コンビニやスーパーなどのホット飲料コーナーで、約50~60度に温めた状態で販売中だ。発売が発表されると、SNS上では「待ってました!!」「助かる」「こういうのずっと欲しかった」「体調悪い時に助かる」などのコメントが寄せられ、瞬く間に大きな話題を呼んだ。

「大変ありがたいことに、好評のお声を多数いただいております。同時期に発売した当社他商品と比べても、SNS上だけでも10倍程度の反響を頂いており、想定を上回る出荷数となっております。弊社ではほかにも、ラベルが小さいシンプルecoラベル、ラベルが全くないラベルレスなど、環境配慮型商品にも力を入れています。このような取り組みについても知っていただく機会を増やし、よりお客様の身近なブランドに成長させていきたいと考えています」

 “タダ同然”だった「水」は、いまや安全・健康・美容などと付加価値を付け、“商品”として多様なニーズを獲得している。今度は「白湯」が、新たな商品価値を確立していくのだろうか。年々勢いを増す“水市場”の動向に今後も注目していきたい。

最終更新日:11/22(火)12:25 オリコン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6445448

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