資源価格や原材料価格の高騰で、大手外食チェーンの値上げが相次いでいる。仕入コストの上昇が続き、今年に入り大手外食の約7割がメニュー価格の値上げを実施している。前回調査した9月以降も35社(46ブランド)が値上げに踏み切り、値上げラッシュが止まらないことがわかった。
東京商工リサーチ(TSR)は、国内の大手外食122社を対象に、2022年1月から11月上旬までに値上げ、および値上げによる価格改定を調査した。
大手外食チェーン122社のうち、2022年に入りメニュー価格の値上げを公表したのは82社(構成比67.2%)と約7割に達する。82社のうち、2回以上の値上げを表明したのは28社(構成比22.9%)で、全体の2割を超えた。原材料高のほか、人件費や光熱費も上昇し、大手と言えども外食産業は厳しい状況に置かれている。82社が値上げを公表したのは105ブランドで、業態別では中華・ラーメンが18ブランド(9月調査時16ブランド)で最多だった。次いで、レストランが16ブランド(同9ブランド)、ステーキ・焼肉が14ブランド(同12ブランド)と続く。今春までは小麦やコーヒー、牛肉など、輸入食材に依存した主力メニューが中心の業態で値上げが目立ったが、秋以降は様々な国産の食材を取り扱う業態にも拡大している。
今回調査の値上げ幅では、「5%以上10%未満」が12ブランドで最多だった。ただ、単価の安いファストフードやコーヒーショップのメニューでは、販売価格が年初から15%以上の値上げもあり、価格転嫁が進むとさらなる値上げが冬場に広がる可能性も出てきた。
各社の値上げ対象のメニューから代表的な商品を抽出し、その値上げ幅を算出した。
9月中旬から11月上旬の間に値上げ幅が判明した31ブランドのうち、最多レンジは「5%以上10%未満」の12ブランド(構成比38.7%)だった。10%以上の値上げは11ブランド(同35.4%)で、3割以上を占めた。
値上げを打ち出す一方、「喜多方ラーメン坂内」は、子供向けの「ちびっこラーメン」を値下げしてファミリー層に訴求するなど、値上げの影響を抑える工夫もみられる。
最終更新日:11/14(月)17:16 東京商工リサーチ