円安「もろ刃の剣」企業慎重姿勢

上場企業の令和4年9月中間決算は、急激な円安進行が各社の業績を振り回した。円安は、外需型企業では輸出採算の改善や円換算した海外事業の収益が膨らむなどして追い風となった半面、原材料やエネルギーを輸入に頼る内需型企業では調達コスト上昇の一因となり、「もろ刃の剣」となった。先行きについては、世界経済の減速懸念などを背景に慎重姿勢が目立つ。



「基本的に円安で失うものはない。われわれは歓迎している」。12月期決算企業であるキヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長は、10月26日の記者会見でこう述べた。この日発表した4年1~9月期連結決算は、円安の押し上げ効果などで営業利益が前期比で2割超伸びるなど増収増益だった。

とはいえ、歴史的水準まで進んだ円安には、業績面でプラスに働くはずの外需型企業からも戸惑いの声が聞かれる。三菱電機の藤本健一郎上席執行役員は「急激な円安によって物流費や素材価格などで想定外の影響が出てくるので、必ずしも円安がすべて良いとは考えていない」と話した。

一方、円安進行は原材料などを輸入する企業にとって、円換算した調達額が増えるため逆風となる。電力10社の4年9月中間連結決算は発電に使う燃料の高騰に円安が追い打ちをかけ、9社が最終赤字だった。

先行きをめぐっては、警戒感を示す経営者が多い。三菱商事は今月8日、5年3月期の連結最終利益の予想を1兆300億円に上方修正。実現すれば商社業界で初の1兆円超えとなるが、中西勝也社長は「世界経済の減速などに伴い、事業環境は厳しさを増すことが想定されている」と指摘。日本製鉄も5年3月期の連結最終利益が過去最高を更新する見通しだが、森高弘副社長は「(鋼材の)世界需要は過去に例をみないほど急減している。非常に厳しい状態が続くと考えざるを得ない」とした。

最終更新日:11/11(金)19:23 産経新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6444420

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