タピオカブームの中、長蛇の列を作る人気店として話題を集めたティーブランド「ゴンチャ」。2015年に原宿表参道店が日本初上陸し、その後、カスタマイズの一つだったパール(タピオカ)を入れたドリンクが一躍有名に。タピオカブームが落ち着いたあとも人気は衰えず、国内に123店舗を展開するまでに成長を遂げた。果たしてその人気の秘密と今後目指す場所とは?
学割の導入など、ユニークな取り組みも特徴的だ。2020年から全店舗で導入されており、「めちゃくちゃお得!」「未就学児や小学生も適用してくれるのはうれしい」と、好意的な反応が多くあがっている。
「学生の皆さまにも、より日常的にゴンチャのドリンクメニューをお楽しみいただきたいという想いで導入しました。学校帰りのホッとひと息つく時間、テスト前に気合いを入れたい時、休日にお友だちと過ごすひとときなど、お気軽にお立ち寄りいただければと思います」(担当者)
マスク生活で気軽な外食や食べ歩きが難しくなったコロナ禍において、深刻な打撃を受けた飲食店は少なくない。しかし、同社は売り上げも店舗数も着実に増やしているという。
「テイクアウトしてご自宅やオフィスに持ち帰って召し上がる方も多く、敬遠されるよりもむしろ需要が増えているように感じます。カジュアルに楽しめるという点で、テイクアウトはもちろんお奨めしていますが、イートイン席有りの店舗も現時点6割程あります。そういった店舗でも、テイクアウトやデリバリーへの需要は高まっていると感じます」(担当者)
実際に、外食ビジネスのオピニオン誌『Food Biz(フードビズ)』がまとめた「コロナ禍に店舗を増やした外食チェーン」のデータでも、スターバックスコーヒー、コメダ珈琲店、スシローに次いで、ゴンチャが4位にランクインした。
飲食フォーマットを選ばない点も、店舗を伸ばしやすい一因だという。テイクアウト特化型や、イートイン席ありの店舗など、立地や客層に合わせた店舗フォーマットを展開。今年7月には、初の高速道路PA、SAへの出店も。
「通勤前後などお時間の限られた時には、駅直結の店舗にサッとお立ち寄りいただきテイクアウト、ショッピングやレジャーの合い間や親しい方とのひとときにはゆったりとお楽しみいただける商業施設内でイートイン、といったように、気分やお好みに合わせてご利用いただける、異なるタイプの店舗をご用意しています」(担当者)
客層は女性の割合が多い印象だが、Wi-Fi完備の店舗がビジネスパーソンにも人気に。高校生グループや子連れの家族も増えるなど、幅広い層へのアプローチが実を結んでいる形だ。
店舗によっては、日本出店時にはなかったコーヒーも現在メニューに追加。「ご同行の方がコーヒーを召し上がりたい場合に、ゴンチャへのご来店を躊躇されることがあっては残念」と、ティーブランドとしてのスタンスは保ち、柔軟なメニュー展開で新規顧客を獲得し続けている。
一方、近年はスターバックス コーヒーやタリーズコーヒーといったカフェチェーン店でも、“ティー”に特化した店舗の出店が多く見られるように。抹茶、ほうじ茶などのお茶ブームもあり、日本人の幅広い年代がお茶を選択することも増えてきた。飲料メーカーにおいても、以前はペットボトルのお茶と言えば緑茶や紅茶、ウーロン茶がメインだったが、昨今はほうじ茶、麦茶、ジャスミン茶など選択肢の幅が広がっている傾向にある。
こうした状況下でも、同社のティーブランドとしての確固たる信念はゆらがない。日本上陸当時、日本ではお茶は温かいものをストレートで飲む、もしくはペットボトルで甘くないお茶を飲む、という2択のイメージが強かった。しかし、ゴンチャが持ち込んだ、アジア各国では定番の“お茶に甘みやミルクを加えて自由に楽しむスタイル”は、当初こそ驚かれたものの、いまでは幅広い層に受け入れられ成長を続けている。
「お茶の味わい、香りは、日常に幸せを感じさせてくれます。これは、ゴンチャのタグラインである “Brewing Happiness”に通じます。丁寧に淹れた上質なお茶を、お好みやその時の気分で自由にお楽しみいただきたいという想い、これがゴンチャの最大のこだわりと考えています」(担当者)
コーヒー市場に比べ、まだまだブルーオーシャンと言えるお茶市場。今後、どんな素材とスタイルで新たなお茶の楽しみ方を提案してくれるのか、期待したい。
最終更新日:11/10(木)14:45 オリコン