総合食品商社の日本アクセス(東京都品川区)は、冷凍食品とアイスクリームが食べ放題の「チン!するレストラン」を10月8~23日の期間限定で開業した。イベントは非常に好評で、2日目にはチケット完売、キャンセル待ちは7000~8000人と、多くの人からの関心を集めた。チン!するレストランはなぜここまで話題になったのか。
――チン!するレストランを開催した狙いを教えてください。
今津: 冷凍食品は便利でおいしいと評価してもらっている一方で、「保存料が入っているのではないか」「体に悪いのではないか」など、敬遠している方も一定数いるという課題がありました。独自で調査したところ、1年間で冷凍食品を購入している人は全体の約4割で、残り6割は冷凍食品を購入していないというデータも明らかになっています。
しかし実際は、冷凍食品には保存料が一切入っておらず、安全な食品です。メーカー様の努力もあり、味もどんどんおいしくなってきています。冷凍食品に対して正しい認識を持ってもらうための啓もう活動として、冷凍食品・アイスの人気投票を行うフローズンアワードを開催したり、冷凍食品の魅力を紹介するマンガを制作したりしてきました。情報だけで伝えるのではなく、実際に食べて理解してもらう機会を提供したいと考え、開催に至りました。コロナ禍で試食の機会がなくなっていたため、いろいろな種類の商品を試せる場を目指しました。
――ただの試食会ではなく、「レストラン」としてイベントを実施した狙いを教えてください。
今津: 現在はできていませんが、コロナ前はお客さまに商品を食べていただく機会は店頭での試食しかなかったため、そうではない新しい場を作りたいと考えていました。裏面を見て商品の加熱方法などを理解してもらいたかったことや、試食で提供するのは面白みに欠けると考えていたこともあり、チン!するレストランは「セルフで体験してもらうこと」「食べ放題」にこだわっています。いろいろな商品を選べること、自分でチンする体験を楽しんでもらえるよう、エンタメ性のあるレストラン事業を採用しました。
今津: 今回予想をはるかに上回る方にご来場いただけた要因は「体験型」「食べ放題」というキーワードが刺さったことにあると考えています。「食べ放題」は値上げが叫ばれるなかでお得感があり、多くの方に支持され、自分で商品をチンする「体験型」であることも面白いと思っていただき、SNSを中心に話題にしてもらえたのだと考えています。
――なぜ一般的なイベントスペースではなく、ヨドバシ Akibaを会場にしたのですか?
今津: 冷凍食品には必ず冷凍庫と電子レンジが必要です。チン!するレストランでは、メーカーさま協賛のもと、電子レンジは無償でお借りし、ヨドバシカメラの売り場で販売している商品をそのまま活用。価格などの商品情報やパンフレットを置いた状態で展示しています。購入前にいろいろな種類の電子レンジを試すことができたと評価が高く、たくさんのお客さまが購入されていました。イベント終了後、来場者にどのレンジがよかったかインタビューを取って「電子レンジ総選挙」を実施し、今後のヨドバシの販促活動につなげるなど、Win-Winの関係を築けたと感じています。
――レンジでチンするとなると、待ち時間が気になります。待ち時間を解消するための取り組みなどは実施していたのでしょうか?
今津: まず、自然解凍商品の品ぞろえを強化しました。また、大容量商品やギョーザなどのレンジ以外の調理が必要な商品をあらかじめ調理してバイキング形式で提供するような工夫もしました。アイスも食べ放題なので、待ち時間をそんなに感じることなく楽しんでいただけたと考えています。
――イベントを実施するうえで大変だったことはありますか?
今津: 限られた席数の中、どうやったら多くのお客さまに楽しんでもらえるかということに苦労しました。大変ありがたいことに予想を上回る反響で、かなり多くの方に来場していただきました。イベント2日目は300人ほどの行列ができてしまい、一時はキャンセル待ちが7000~8000人と、多くの方にお待ちいただきました。正直ここまでの来客は見込んでいなかったため、予約方法の見直しや座席確保には苦労しました。
最終更新日:11/9(水)13:23 ITmedia ビジネスオンライン