ETC割引狙い 路肩埋めるトラック

コロナ禍で通販市場が拡大し「運送業界」の需要が増えています。一方で、燃料費が上がっているほか、競合他社が増えて過当競争ともいえる状況になっています。そんな中、取材班は高速道路の「深夜割引」をめぐりトラックドライバーたちを悩ませている実態に迫りました。

実態はどうなのか。取材班はさいたま市の配送先に向かうトラックに同行させてもらいました。運転する「鳥羽運送」の加藤欣宏さん(52)はこの道16年のベテランドライバーです。和歌山から埼玉までは総距離500km以上。目的地近くの東京料金所に深夜割引が適用される午前0時すぎに通過することを目指します。9時間にわたる長距離運転。ドライバーにとって景色を見るのも1つの楽しみです。

 (鳥羽運送 加藤欣宏さん)
 「好きな高速とか走りやすいところとかありますよね。北陸道とかは全体的に走りやすくて好きですね。日本海を見ながら走るのも気持ちいいですしね」

 走り始めてから4時間が経過しました。

 (鳥羽運送 加藤欣宏さん)
 「4時間たったので30分休憩とりますね」

 実は、長距離ドライバーは4時間運転すると30分間の休憩をとらなければならないと法令で定められています。通称「430(よんさんまる)休憩」と呼ばれ、違反すると事業者が処分の対象になります。和歌山から埼玉までは運転時間が8時間を超えるため「430休憩」は2度必要になる計算です。

 午後9時半、トラックは静岡県に来ていました。この時間、あたりを走るのはほとんどがトラックです。運転再開して3時間がたち、2度目の「430休憩」を早めにとろうとしますが、パーキングエリアにつながる道にも何台ものトラックが駐車されています。止められるスペースはありませんでした。

 (鳥羽運送 加藤欣宏さん)
 「(Qパーキングに入ってすらないですね?)そうですね、入る前から…。(トラックが止まっているのは)駐車枠ではないですね」

 諦めて別のパーキングエリアへ向かいますが…。

 (鳥羽運送 加藤欣宏さん)
 「厳しいですね。ここでつっかえていたら止められないですね、空いていても」

 ここでも止めることができませんでした。その後、5か所で休憩を試みるも駐車することはできませんでした。道路交通法を違反してまで止まるトラック。その多くが「深夜0時待ち」です。この日、静岡県内の駐車場はどこも混雑。このままでは交通ルールを破って駐車するか、労働時間を破るかのどちらかとなってしまいます。

 駐車場を探し始めて1時間。「混雑」と表示されている神奈川県内のパーキングエリアへ向かいます。そして、運転し始めてからちょうど4時間たったところで、なんとか駐車できました。

 (鳥羽運送 加藤欣宏さん)
 「これは体に悪いですね、精神的に疲れるんで。これをちょっとでも癒すための30分休憩ですね」

 2度目の休憩を終えるといよいよ東京料金所へ。午前0時を過ぎるよう車を進めます。そして午後11時57分、東京料金所付近に到着。徐々に前方の車列のスピードが落ちていき、完全に停車。料金所は目と鼻の先です。多くのトラックがゆっくりとその時を待ちます。そして午前0時、前のトラックが動き始めました。加藤さんのトラックも東京料金所を通過します。料金は1万230円。30%の割引も適用されました。

 約30分後、トラックはさいたま市へ。目的地近くの駐車場にトラックを止めます。運転時間は約9時間。加藤さんは車内で就寝して取引先の搬入時間を待ちます。労働時間を守りながら交通ルールを守る。この悩みは運転のたびに続いています。

最終更新日:11/7(月)23:08 MBSニュース

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6444005

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