「値上げラッシュ」の大波は過ぎたものの、11月も多くの食品が値上がりする。上場する主要飲食料品メーカー105社における、2022年以降の価格改定計画(値上げ、実施済み含む)を調査した結果、10月末までに累計2万743品目の値上げが判明した。このうち、11月単月の値上げは833品目となり、年間で最も多かった前月(10月:6699品目)の約1割にとどまったほか、5月(251品目)以来半年ぶりに1000品目を下回った。年内に計画された値上げのうち9割超が10月までに値上げ済みで、今年の「値上げラッシュ」は既に峠を越えている。ただ、油やパン製品などが集中的に値上がりした昨秋の約300品目に比べると2倍超に達しており、例年と比較すると引き続き「値上げラッシュ」といえる状況は続いている。
価格改定率(各品目での最大値)は平均で14%に達し、原材料高や急激に進んだ円安を反映した夏~秋以降の大幅な価格引き上げが、全体の値上げ率上昇を招く要因となった。
値上げ率平均のうち、11月単月では15%だった。既に値上げが済んだ1~10月を含めた年内11カ月のうち、9・10月の16%に次いで3番目に高い水準だった。春先から続く小麦や食用油価格の上昇に加え、原油高に伴う包装資材や容器、物流費の高騰、今夏から急速に進行した円安水準などが重なり、食品分野を問わず大幅な価格アップに踏み切るケースが多かった。
約6700品目に上る食品で値上げが行われた10月以降、高まりつつある消費者のインフレ実感は、11月以降値上げされる「パック牛乳」など日配品の値上げにより、一気に鮮明化するとみられる。ただ、年内の「値上げラッシュ」は10月を最大の山場としてピークアウトしているほか、12月の値上げもゼリー類など局所的なものにとどまる。そのため年末まで当面の間、消費者生活面では新たな値上げから遠ざかる見通しとなる。
足元では1ドル150円前後で推移する円安局面のなか、来年の値上げ予定品目数は早くも2000品目を超え、その多くで「円安」が要因として挙げられている。今後も大きく引き上げられる予定の電気・ガス代など、コスト上昇圧力が解消される望みは当面薄いなか、来年2~3月をピークに「値上げラッシュ」が再来する可能性が高い。
最終更新日:11/1(火)6:31 帝国データバンク