政府は28日夕方、電気代やガス料金の負担軽減策などを講じた「総合経済対策」を閣議決定した。財政支出の規模は、財政投融資をあわせた総額が約39兆円にのぼる。この決定に至るまでには2つの“異例”とも言える事態があったが、その舞台裏とは。
「今、政調全体会議中で、金額は決まってもないし聞いてない」
「総合経済対策」のとりまとめに向けて大詰めを迎えた26日午後、自民党の萩生田政調会長は会議の挨拶の中で、財務省に対して怒りをあらわにした。この直前、岸田首相は官邸で鈴木財務相と総合経済対策の総額について調整をしていて、萩生田会長に電話で確認をしてきたという。
財務省が示した当初案は補正予算の一般会計が23兆円だったが、自民党幹部から「けしからん」という声が出たことで、25兆円という案が浮上。自民党内では、30兆円を超えた去年の補正予算規模を念頭に、萩生田政調会長が「30兆円を超える規模が必要」、世耕参院幹事長が「30兆円が発射台だ」などと発言していただけに、25兆円という数字に自民党の会議が紛糾した。
首相周辺によると、岸田首相は与党からの声を踏まえて金額を引き上げようとしたが、その時点では財務省から慎重論があり、いったんは首相が引き取る形になった。その後、岸田首相が茂木幹事長や萩生田政調会長と電話で協議して、夜9時過ぎに鈴木財務相らに「29兆円を超えるように、もうひと頑張りできないか」と指示した。
財務省が最終的に示したのは、予備費を中心に4兆円増やした29.1兆円だった。
最終更新日:10/28(金)23:14 日テレNEWS