客流れる 休めぬコンビニ苦境

年末年始に休業するスーパーや百貨店が増えている。今年は新型コロナの影響と、それに伴う従業員への配慮もあり、休業の範囲を拡大する動きもある。



一方で、コンビニ業界は休業に消極的だ。

ローソンでは、2019年末に約100店舗を実験的に休業させたが、2020年の年末年始に休業するのは85店舗に減る。セブンイレブンとファミリーマートは全店営業する。

コンビニ業界では、2019年2月に東大阪の店舗オーナーが時短営業を強行したことや、本部の社員が商品を無理やり仕入れさせる行為が発覚したことで、店舗オーナーの過酷な労働実態に注目が集まった。

批判の目にさらされたコンビニ各社は、店舗の判断で時短営業を可能にするなどオーナーに歩み寄ったが、時短営業に切り替える店舗は全体から見るとわずか。

現場のオーナーは、「時短営業すべきだとは思う。でもコロナで売り上げが厳しい現状でそれをやったら、他の店に客をとられてしまう」と苦しい胸の内を明かした。

新型コロナの影響を受けて、消費者の足はコンビニから遠のいている。

全国フランチャイズチェーン協会の発表によると、同協会に加盟するコンビニの来客数は、2020年11月は130万5950人で、2019年に比べて10%減少。前年同月との比較では、9カ月連続で減少している。

「新型コロナの感染拡大によってスーパーに消費者が流れた。品ぞろえが豊富で低価格、まとめ買いに適していたからだ」

経済産業省が2019年6月に設置した「新たなコンビニのあり方検討会」のメンバーで、東レ経営研究所チーフアナリストの永井知美氏はそう指摘する。

ただコロナの影響は、コンビニの立地によっても大きく違う。

「オフィス街の店舗は客数が減少しているものの、郊外や住宅地の店舗では影響が少ない。また全体で見ると、客数は減っているものの、客単価は上昇しており、住宅地の店舗を中心に『コンビニでのまとめ買い』という新たな需要も取り込んでいる。オフィス街と住宅地のコンビニでは、明暗が分かれている」

その上で永井氏は、「2021年以降、コンビニがばたばたと閉店していく可能性もある」と指摘する。

コンビニの契約期間は10年と15年が一般的。店舗数は2010年以降に急増しており、2021年に契約更新の時期を迎えるオーナーは少なくない。

「公正取引委員会の調べによると、オーナーの平均年齢は53.2歳と高齢化している。この状況では、次の10年を待たず、閉店を考える店舗も続々と出てくるのではないか」(永井氏)

前出のセブンイレブンの店舗オーナーSさんは、こう話す。

「知り合いのオーナーの中には『もう体が持たない』と話す人もいる。これまでと同じビジネスモデルを続ける限り、どんどんコンビニオーナーが辞めていくのはやむを得ないでしょう」

(文・横山耕太郎)

最終更新日:12/29(火)15:27 BUSINESS INSIDER JAPAN

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6380745

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