あえて大阪で関東風うどん店 なぜ

10月22日、大阪府豊中市に「完全セルフ」をうたう24時間営業のうどん店「惑星のウドンド」がオープンした。業態や「惑星のウドンド」という店名だけでもなかなか特徴的だが、使用する麺は、山梨県の「吉田うどん」をベースにした、関西であまりなじみのない「固い」麺。だしもいわゆる“関東風”なしょうゆベースの黒い見た目だ。



 決済をはじめ、冷蔵庫から材料を取り出す、麺をゆでる、盛り付けるなど、全ての工程が完全セルフサービスの店舗では、セキュリティ対策やオペレーションをどうしているのか。それにしても、なぜ、関西風とは縁遠いスタイルのうどんをチョイスしたのか。オープン前の店舗を訪問し、運営企業の齊藤産業(大阪府豊中市)に取材した。

 今回オープンする店舗は、阪急宝塚線・大阪モノレール「蛍池駅」から徒歩約2分ほどに位置する。駅直結ビル「ルシオーレ」の裏通りで、同社が運営するラーメン店「みつか坊主」の移転に伴う空き店舗を利用して開業した。24時間営業で座席はカウンターのみの15席。現金とPayPayのほか、 LINEの友だち登録からの事前決済に対応する。平日で100食/日、週末で150食/日を見込み、開業初年度は月商150万円を目標としている。イートインだけでなくテークアウトにも対応する。

 移転前と同じラーメン店でなく、うどん店にした理由はどこにあったのか。同社の齊藤光典社長は「新型コロナウイルスの感染拡大もあり、集客が難しくなった。デリバリーやテークアウトにシフトしようとしても、ラーメンは麺が伸びやすいし、ぬるくなってしまう」と話す。そこで、吉田うどんにヒントを得た。

 コシのある吉田うどんをベースにすれば、麺が伸びにくく、レンジ加熱でもおいしく食べられる。デリバリーやテークアウトにも適しているため、あえて関西風のうどんと一線を画した固い麺を選んだのだ。通常のうどんよりも小麦の割合を多めとし、水分が少ない固めのコシのある仕上がりにしたという。

 同店は、店内データの分析などで大阪大学の院生や学部生らの協力を得ながら運営していくという。不思議な店名でもある「惑星のウドンド」という世界観の考案にも学生が関わった。

 齊藤氏によると「ウドンドのうどんは固く、関西で主流の柔らかいうどんとは異なるため、別物の新しいジャンルとして若い人に認知してもらうにはどうしたらいいか考えた結果」だという。店内の壁には、世界観を広げていくために制作された漫画の1コマを用意した。

将来的には完全無人販売を目指すというが、現在の支払い方法は完全キャッシュレスではなく、現金にも対応している。決済の管理はどうするのだろうか。

 同社は今回の店舗オープンに先立ち、大阪・梅田で半年間にわたり、同業態のうどん屋を試験的に営業。試験店舗では、うどんをゆでる工程だけを店側が行い、決済についてはセルフとしていた。その結果、トータルでレジ金額がマイナスになることはなかったという。

 齊藤氏は「ゆくゆくはキャッシュレスのみがベストだが、大阪におけるキャッシュレスの浸透具合と、設備投資のバランスを考えて、現金決済も用意した。イメージとしては、野菜の無人販売所みたいなもの」と語る。とはいえ、念のため店内にはセキュリティとして、スピーカー付きのカメラを4台、モニターも設置し、民間の警備会社とも契約している。

 当面の間、昼はスタッフを配置しつつ、人感センサーを設置してデータを取得していく。集めたデータを基に、商品の補充や器の洗浄、店舗清掃のサイクルを検証していくという。齊藤氏は「当分は当社が運営する近くのラーメン店スタッフが頻繁に顔を出すつもりだが、データなども活用して人員配置を決めていきたい。理想は『無人』というより、店側のスタッフが『調理しなくていい』という状態にすること」と語る。

最終更新日:10/24(月)8:54 ITmedia ビジネスオンライン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6442547

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