料理に髪の毛 店と客理想の対応は

飲食店で食事をしようとしたときや、食事の最中、提供された料理に「髪の毛」が入っていることに気付いた――。そんな経験はありませんか。実際に経験したことがある人の中には、店員に言うべきかどうか、言うのであれば、どのように伝えるべきか、迷ったことがあるという人もいるのではないでしょうか。



 そこで、「外食時、提供された料理に髪の毛が入っていた」経験の有無や、その状況下でどのような行動を取ったかなど、実際の体験談を2000人にアンケートで聞くとともに、飲食店コンサルタントに飲食店側・客側それぞれの“理想的な対応”について取材しました。

この結果を踏まえ、飲食店コンサルタントの成田良爾さんに話を聞きました。

Q.アンケート結果を見て、どう思われましたか。

成田さん「私のこれまでの経験と、今回の結果を比較すると、『髪の毛』の混入経験者が59.4%いるというのは少し多く感じます。最近は飲食店店員の髪型の自由度が増しており、それも要因の一つかもしれません。

また、『店員に伝える』人が63.1%と控えめでした。『そうする理由』のコメントにも表れていますが、これが虫や固形物の混入も含めた『異物混入』として質問していたら、もう少し増えたのではないでしょうか」

Q.料理への異物混入に対し、一般的に、飲食店はどのような対策・工夫をしているのでしょうか。

成田さん「料理の異物混入で最も多いものが毛髪や体毛、糸くずなど店員にまつわるもので、2番目に多いものがコバエや、野菜に付いている青虫などの虫です。これを踏まえて、一般的な飲食店では、店員は自身の抜け毛が料理に混入しないように髪を結ぶか、整髪料で固めます。もちろん、コスチュームは常に清潔な物を着用します。また、店内の出入り口付近や厨房(ちゅうぼう)内に防虫剤を設置するなどの対策を行います。

他にも、異物混入を防ぐために多くの対策をしています。飲食店経営において、異物混入を含めた食品衛生には多くの飲食店が細心の注意を払っているのはもちろんなのですが、どうしてもヒューマンエラーはなくならないのも実情ですね」

Q.客から「料理に髪の毛が入っている」ことを指摘された際、飲食店側が「実際に取ることの多い、その場での対応」とはどのようなものでしょうか。

成田さん「お客さまから指摘を受けた場合、多くの飲食店は指摘を伝えられた店員がまず謝罪をし、状況を把握した上で責任者に報告し、責任者は誠意をもって対処します。まれに『取りあえず謝ればいい』とその場しのぎの謝罪をしたり、お客さまの話も聞かずに『責任者を呼んできます』と逃げてしまったりする店員もいるのが実情です。

『髪の毛が入っていることに気付いたらどうするか』の代表的なコメントに、『さらに嫌な思いをした』ともあるように、その場しのぎの謝罪では、『謝れば済むわけではない!』『口先ばかりで心がこもってない!』と逆に怒らせてしまうケースが結構あるので、注意が必要です」

Q.では、「理想的な、その場での対応」は、どのようなものでしょうか。

成田さん「まずは、不快な思いをさせてしまったことに対して謝罪をします。お客さまは状況を早く話したい場合が多いので、すぐに責任者を呼びに行くことはせず、異物混入を伝えられた店員がお客さまから詳しく話を聞くことが大事です。そして混入した異物を確認したら、『原因調査のために、新しい料理に交換したい』と申し出ます。お客さまの了承を得たら、すぐに新しい料理をお持ちして、原因が分かればお伝えし、店側に原因があるとはっきりしたら、責任者が謝罪するのが望ましいでしょう。

お客さまが料理の交換を望まない場合は代金を返金したり、そのまま料理を召し上がるのであれば無料にしたりするなど、いずれにせよ、お客さまがどうしてほしいのか、お客さまと相談をした上での対応が望ましいでしょう。状況によってはデザートサービスなど、場が和むサービスも必要でしょう。同席者がいれば、少なからず不快な思いをしているので、同様の心遣いが必要だと思います」

Q.客から「料理に髪の毛が入っている」ことを指摘された際、飲食店側が「その後の改善策(再発防止策)」として行う必要があるのはどんなことだと思われますか。

成田さん「普段からほこりがたまっていたり、テーブルが汚れていたりするなど、全体的に衛生管理意識が低い店なら、管理者も含めた店員の抜本的な意識改革が必要です。衛生状態がよくない飲食店は客のリピート率も低いので、経営効率にも影響してきます。

一方、普段から衛生管理を徹底していたにもかかわらず起こってしまった店なら、普段の衛生管理の手法に落ち度はなかったか見直しをしたり、定期的な声掛けで気の緩みを引き締めたりする必要があるでしょう」

Q.料理に髪の毛が入っていた場合、飲食店にとって最もよい「客側の対応」はどのようなものだと思われますか。

成田さん「お客さま側は我慢する必要はありません。髪の毛が入っていたら、近くの店員にその旨を伝えましょう。他の客に分からないように小声で伝える配慮があれば、なおいいですね」

※この記事は、オトナンサーがYahoo!ニュースを通じて実施したアンケートの結果を活用しています。アンケートは8月25日、全国のYahoo! JAPANユーザーを対象に行い、2000人から有効回答を得ました。年代は30代17%、40代31%、50代30%、60代16%が多く、男女比はほぼ6対4。職業は会社員39%が最多で、専業主婦(主夫)14%、自営業・フリーランス14%などでした。
※アンケートのパーセンテージは小数点第2位を四捨五入しており、合計が100%にならない場合があります。

最終更新日:10/23(日)19:36 オトナンサー

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6442497

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