「会長(KAICHO)それは日本の企業におけるもっとも成功した人物のみが辿り着ける成功の頂点を表しています」――。こんなキャッチフレーズが裏ラベルに記載された「ジャパニーズウイスキー」がアジアの市場に出回っており、ネーミングの面白さもあって日本でもツイッターなどで話題になっている。
ジャパニーズウイスキーは諸外国で高騰し、世界中で引っ張りだこ。2021年のウイスキー輸出額は約462億円で前年比170.2%の増加を記録している。ただ、中には品質に疑問符が付けられるものもある。このため、業界団体は自主的な基準を作成し、スコッチやアイリッシュなどと並び世界5大ウイスキーとも称されるジャパニーズウイスキーの品質維持に努めている。「会長」の出所を探ってみると、ウイスキー業界が抱える課題が浮かび上がってきた。
ツイッターでは、「ラベルの商品紹介が怪しい」「その言葉はそういう意味だが、そのニュアンスでは使わない」と日本語を母国語としない人が商品名やラベルの作成に関わったのではないかと類推する声や、「受け狙いで置いてもいいかと思ったけど8000円は高すぎる」との評価も。
■販売元に問い合わせてみた
ラベルには、輸入商として、欧腾国际贸易(广东)有限公司との記載があり、中国広東省の会社が扱っているようだ。実際には、アジアユーロ・インターナショナル・ビバレッジ(Asiaeuro International Beverage)が手掛けた商品で、この会社の香港支店に電話すると、このウイスキーは山梨県韮崎市にある“自社”の醸造所で製造していると明らかにした。
サン.フーズの担当者によると、海外の企業からウイスキーの製造を委託されているのは、25~26種類にも上るという。同社は2014年にウイスキー製造免許を取得しており、ウイスキーブームに乗った新規参入組と言えるが、担当者は「海外販売は好調」と話す。同社は以前の東洋経済オンラインの取材に対し、「自社で蒸留した原酒に海外から輸入した原酒を加えて、ブレンドしている」と、増産の手の内を明かしている(「ジャパニーズウイスキー」の悲しすぎる現実)。
最終更新日:10/16(日)17:52 東洋経済オンライン