2020年のテレビCMはコロナ禍の世相を反映し、巣ごもり消費や前向きなメッセージを訴える作品が話題を呼んだ。日経MJが識者に実施したアンケートで、最も広告効果が高いと思われるとの評価を受けたのは、ウーバー・ジャパンの「ウーバーイーツ」だった。2位は愛らしいキャラクターが和ませた「ゼスプリ キウイフルーツ」。中高生の自撮り動画をつなげた大塚製薬の「ポカリスエット」も5位に入った。(CM出演者は敬称略)
外出自粛に伴いフードデリバリーの需要が伸びる中、CM評価でも躍進したのが、1位の「ウーバーイーツ」だ。「今夜、私が頂くのは――」をキーワードにしたCMは、黒柳徹子や阿部寛、山田孝之らそうそうたる顔ぶれが出演。コミカルな掛け合いで、フードデリバリーの魅力を巧みにアピールした。
20年だからこそ作られたCMもある。感染リスクを抑えるため、リモートで制作されたCMだ。
例えば5位となった大塚製薬の「ポカリスエット」。テーマは「合唱」だ。ヒロインの汐谷友希を中心に、100人近い中高生の自撮り映像を編集し制作した。「ドラマよりも映画よりも演劇よりも早く、ニューノーマルを九十数人の自撮りという形で見事に取り入れた」と多摩美術大学教授の佐藤達郎氏は話す。
同様のコンセプトといえそうなのが、3位に入ったソフトバンクの「SoftBank」。「5Gバーチャル大合唱」では、嵐が「Love so sweet」を、大勢のファンとともにバーチャル空間で合唱する内容で、5Gの特性を表現している。
調査の概要 2020年12月中旬までの1年間に放送されたテレビCMで広告効果が高いと思われるものについて9人の識者にトップ10を挙げてもらい、点数化した。
(田村峻久、安部修一)
最終更新日:12/28(月)11:31 日本経済新聞 電子版