国際通貨基金(IMF)は6日、2023年の世界の実質経済成長率について、これまで見込んできた2・9%から引き下げる方針を明らかにした。ウクライナ危機による物価高(インフレ)がIMFの想定を超えて長引き、世界の3分の1の国が今後、景気後退に陥るおそれがあると警告した。
IMFのゲオルギエバ専務理事が6日、米ワシントンでの講演で明らかにした。IMFは近く公表する最新の世界経済見通しで実際の下げ幅を示す予定だ。4月時点では3・6%の成長を見込んでいたが、7月に2・9%に引き下げた経緯があり、IMFの想定を上回るスピードで先行き不安が高まっている。22年の予想成長率は7月時点で3・2%。
ゲオルギエバ氏は講演で「(ロシアによる)無分別な戦争が生んだ複合的なショックが、経済の状況を一変させた」と指摘。特に、ウクライナ危機によるエネルギーや食料の価格高騰を通じて各地で進んだインフレが、「IMFなどの想定を超えて持続」していると述べ、景気の減速の大きな要因になっているとの見方を示した。
最終更新日:10/7(金)20:36 朝日新聞デジタル