年末年始の宿泊割引で自治体の判断が割れている。
新型コロナウイルスの感染急拡大で、政府は観光支援事業「Go To トラベル」の全国一時停止を決定。政府に倣う形で独自の割引を中断する動きが目立つが、地元住民に対象を絞り継続するところもある。窮地の旅館やホテルにとって書き入れ時だけに、工夫と苦悩がにじむ。
北海道はトラベル事業の停止期間と同じ28日から来年1月11日まで、道民対象の宿泊代金などの割引を中断する。札幌市を目的地とする場合は既に対象外としているが、より強い対応を取る。山形、静岡、香川各県も地元住民らが使える宿泊割引を停止する。三重県は発行済みの割引券の利用自粛を呼び掛ける。
一方、山梨県は年末年始、県民限定で宿泊料金を1人1泊2500~1万円安くする。感染防止策を講じている県内の施設が対象だ。これまでは県外の旅行者にも1泊2500円か5000円を割り引いていたが、対象を絞って割引額を上げ、地元の観光需要を下支えする。長崎幸太郎知事は感染状況を考慮した上で、「県民向けであれば良いと判断した」と話す。
富山県は県民が県内で5000円以上の宿泊旅行をした場合、5000円相当の特産品を提供する。カニやホタルイカが代表例だ。福島県は1泊5000円の割引利用に関し、対象を東北6県と新潟県の旅行者から福島県民に絞った。県民なら年末年始も使える。
長野県は県民が同居家族と県内の宿泊施設に泊まる際、1泊3000円か5000円安くする。福井県は県民限定の宿泊割引を継続する考えで、杉本達治知事は「観光業の痛手を最小限に食い止めたい」と説明する。
全国有数の観光地、道後温泉(松山市)を抱える愛媛県。トラベル事業の全国停止で、道後温泉周辺を中心に2万5000件以上の宿泊予約の解約があった。県は年末年始、県民限定で1泊5000円を割り引く事業を行う。中村時広知事は「観光業界を支えるため、割引を活用してほしい」と呼び掛けた。
最終更新日:12/26(土)16:54 時事通信